36人が死亡し、33人が重軽傷を負ったアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの容疑で逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)は7月18日の事件発生以来、入院が続いている。

今月14日、やけどの高度治療を受けていた大阪府の病院から京都市内の病院に転院した。京都府警は勾留に耐えられる程度まで回復するのを待って逮捕する方針だが、まだリハビリが必要で、捜査関係者は退院時期について「まだ分からない」と話す。今月8日には、大阪府内の入院先で初めて事情聴取を受けている。

全身に重いやけどを負い、皮膚移植手術を重ねており、治療にかかった費用は高額とみられる。捜査関係者は青葉容疑者の医療費支払いについて「逮捕前なので、国費が充てられる理由はない」とし、容疑者負担を強調した。

元東京地検特捜副部長の若狭勝弁護士によると、事件の容疑者の医療費支払いについて「逮捕前、逮捕後にかかわらず、本来は容疑者の自己負担です。国民健康保険など資格を得ていれば、もちろん保険が適用されます」と説明。また、支払い能力がない容疑者の医療費支払いについて「逮捕前は自己負担ですが、逮捕後に限り、治療しないと死に至るような場合、重要事件の容疑者を死なせないために、事実上は国や県が支払うケースもあります」としている。【近藤由美子】