元安倍内閣参与の藤井聡京大教授を中心とする研究グループは1日、新型コロナウイルスによる経済活動の縮小で失業者が増加し、自殺者は史上最悪になるとのリポートを発表した。

リポートは、事態が1年後に収束する「楽観シナリオ」と、収束まで2年かかる「悲観シナリオ」の2つを検討。「楽観」は20年度の実質GDP成長率マイナス14・2%、21年4~6月期にプラス0・8%に転じると仮定した。「悲観」は20年度マイナス14・2%、21年度マイナス5・2%と試算した。失業率は「楽観」でも20年度末に6・1%となり、デフレに突入した02年の5・4%を上回る高い水準になる。「悲観」の場合、ピークの21年度末に8%を超えるとしている。

失業と自殺は相関関係があり、失業率が1%上昇すると、自殺者は2400人増加する。「楽観」でも年間自殺者は3万4449人、「悲観」では3万9870人と予測した。日本の自殺者は98年に初めて3万人を突破。03年に3万4427人で過去最高となった。「楽観」でも「悲観」でも最悪の事態となる。直近の失業率は2・5%(3月)、自殺者は1万9959人(19年)。