前田大然の武器は連発可能な加速力/輝く男たち連載

無理な体勢から笑顔でボールに足を出す前田(撮影・河野匠)

<TOKYO2020へ輝く男たち(5)>

東京オリンピック(五輪)世代NO・1のいだてん、FW前田大然(21=松本山雅FC)の武器は「加速力」だ。手動計測ながら50メートルを5秒8で走るといわれる快足。9日エルサルバドル戦で2得点したロンドン世代のFW永井(東京)と同じだが、前田はその速さを何度でも繰り出すスプリント回数で突出している。

時速24キロ以上で走った際にカウントされる数値。北京五輪代表監督で、現在は松本で前田を指導する反町監督も評価する点だ。攻撃だけでなく守備のプレスでも計測され、3月の大分戦ではJ1歴代最高となる1試合53回をマーク。ランキングも今季トップ3を独占している。大自然に育まれた幼少時代は、はだしで山道を走り、木に登った。爆発的かつ連発可能なダッシュ力を人生で養ってきた。

3月のU-23アジア選手権予選では3試合でチーム最多の5得点。健脚で最終ラインの裏を破り倒した。5人きょうだいという話題性でも、7人きょうだいで50メートル走5秒9のリオ五輪代表FW浅野(ハノーバー)と重なる。森保監督から重宝されるタイプで、歴代の五輪代表にいたスピードスターの系譜も継ぐ。初の代表となる南米選手権に向けては「南米の強豪相手に、どれだけ自分ができるか試すチャンスでもある。モノにできるように頑張ります」。大自然児が王国ブラジルで爆走する。【木下淳】

◆前田大然(まえだ・だいぜん)1997年(平9)10月20日、大阪府太子町生まれ。太子町JSC、川上FCをへて山梨学院大付高。16年に松本入り。期限付き移籍した17年のJ2水戸ホーリーホックで36試合13得点とブレーク。18年に復帰し今季は14戦1発。5人きょうだいで姉、弟と妹2人。千咲(ちさき)野乃花(ののか)草原(そうげん)野原(のはら)と名がつき、自身も「雄大な自然」が由来。173センチ、67キロ。利き足は右。