女性刑務官の離職防げ 3年未満4割退職 高い収容率、受刑者高齢化 女子会企画、働きやすさPR

 女性刑務所の運営に携わる女性刑務官の離職率の高さが課題になっている。3年未満の離職率は4割に上り、男性刑務官の2・5倍。出産や子育てに伴う離職だけでなく、収容率や高齢化率が高い女性受刑者への対応の難しさから、職場を去る人も少なからずいるという。人員確保や定着率の底上げに向け、現場で取り組みが進んでいる。

 「チームプレーなので危ない目には遭わない。先輩に相談しながら前向きに勤務して」。3月10日、九州の刑務所を管轄する福岡矯正管区(福岡市東区)。今春採用の女性12人に女性幹部が優しく語り掛けた。机にはケーキやコーヒー。法務省が「女子会」と位置づける業務説明会だ。

 法務省によると、2012年度までの3年間に採用された女性刑務官のうち、37・7%が3年未満で退職した。離職率は年々高まっているという。福岡矯正管区の離職率は全国平均より低いが、不安を解消してもらおうと、初めて説明会に取り組んだ。

 背景には女性刑務所特有の問題がある。受刑者数はこの10年ほど高止まりが続き、2月時点で全国に10ある施設のうち3施設で収容定員を上回る。収容率が90%を超える施設も4カ所ある。受刑者の減少で収容率が61%となっている男性施設とは対照的だ。

 「女性施設は高齢化率も高く、摂食障害や精神疾患を患っているケースも少なくない。多様な対応が求められ、負担が重くなっている」と法務省の担当者。そこで法務省は、女性刑務官の数を15年度の1400人台から3年間で200人増やし、負担の軽減を図っていくことにしている。

 女子会もその一環。新規採用者と先輩刑務官が語り合う場を積極的に設けるほか、女性向けの採用パンフレットを作成するなどPRにも力を入れている。目標は、離職率を男性刑務官並みの15%まで引き下げることという。

 福岡矯正管区の女子会に参加した藤優里香さん(27)は「チームプレーと聞いて不安が少し解消された」、大戸明歩さん(19)も「大変な時もあると思うけれど、先輩に相談しながら頑張っていきたい」と前向きに話していた。

この記事は2017年04月04日付で、内容は当時のものです。