朝倉市が避難指示基準見直しへ 梅雨控え呼び掛け前倒し

 昨年7月の九州豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市は、今季の梅雨入りを前に豪雨時の避難指示や勧告の発表基準を見直す方針を固めた。危険度別に市内をエリア分けし、大雨に関し気象庁から一定の警報が出れば即座に避難勧告、指示を出すなど基準を明確化する。山間部では防災工事が手付かずの危険な斜面が多く、河川改修なども間に合っていないため、避難の呼び掛けを前倒しして住民の安全を守る必要があると判断した。

 市内には土石流や地滑りが懸念される土砂災害警戒区域が759カ所あり、これまでは雨量や河川の水位、被害の発生状況などを総合的に判断して勧告や指示を出していた。市幹部は「空振りも覚悟で勧告や指示を出し、早めの避難をお願いする」としている。

 新たな発表基準では、昨年の豪雨で被害が大きく、現在も避難準備情報を出している計8地区(約7千世帯)と、それ以外の地区とにエリアを2分。8地区に対しては、気象庁が大雨警報を出した時点で避難勧告、大雨特別警報で避難指示を出す。

 8地区以外は、大雨特別警報が出た場合、県と気象庁が発表する土砂災害警戒情報で「非常に危険」(2時間以内に危険到達の恐れ)とされた際に避難勧告、「極めて危険」(すでに危険到達の恐れ)とされた際に避難指示を出す。

 住民への周知では、激しい雨音や雷鳴で防災行政無線の内容が聞き取れないことも想定されるため、避難勧告は30秒間2回、避難指示は30秒間3回のサイレンを市内に設置されたスピーカーから大音量で鳴らすよう改める。

 他の被災地では、同県東峰村が発表の基準となる雨量や土壌雨量指数を従来より2割程度引き下げる方向で検討中。大分県日田市は、雨量などが勧告基準に達しなくても、雲の状況などから早めに勧告を出すよう運用する方針を示している。2012年の九州北部豪雨や16年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本県南阿蘇村も、一定の警報が出れば避難勧告するといった基準の明確化を打ち出している。

=2018/04/24付 西日本新聞朝刊=

  • 西日本新聞

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