九州の地方移住 3900人超 60市町村、5年で2.4倍 福岡からの流入目立つ

 人口減少が指摘される中、西日本新聞社は九州7県の全233市町村に対し、移住者政策に関するアンケートを実施した。4分の1に当たる60市町村が、相談窓口などを通して県外からの移住者を詳細に把握しており、2010~14年度の5年間では約2・4倍に増え、計3900人を超えることが分かった。移住前の居住地は福岡、東京、大阪など大都市部が目立つ。市町村が移住促進に力を入れていることに加え、少子高齢時代の「生き方」として移住が有力な選択肢となっている実態がうかがえる。

 各市町村は定期的に転入者数を調査・公表しているが転勤者を含むため、九州で移住自体を目的に県外から越してくる人の規模はこれまで明らかではなかった。福岡市を含め、市町村の4分の3は把握しておらず、行政の窓口を経由せずに移り住む人も少なくなく、実際の数はさらに多いとみられる。

 アンケートは今秋、九州の全市町村に文書を送付、今月上旬までにすべて回答を得た。うち60市町村が、相談窓口のほか空き家バンクや奨励金など各種制度の利用者をカウントするなど、県外からの移住者を「把握している」とした。県別では福岡1、佐賀6、長崎11、熊本5、大分9、宮崎10、鹿児島18-市町村。

 移住者は10年度が計464人で、11年度は715人、12年度746人、13年度920人。14年度は1107人に上り、5年間の総計は3952人に達した。

 14年度、移住前の居住地で最も多かった都道府県を聞いたところ、東京都との回答が最多の11市町村(計66人)。福岡県が9市町村(計81人)、大阪府が8市(計51人)-と続く。

 5年間の移住者数のトップは鹿児島県霧島市の336人。市内の中山間地に住宅を新築・増改築した場合などに最高100万円を支給し、農業体験や住宅物件の見学を組み合わせたツアーなどで移住を促す。担当者は「05年の1市6町合併後、横ばいだった人口は減少局面に入った。移住者の受け入れは人口維持政策の大きな柱だ」と話す。

 次いで長崎県松浦市と大分県豊後高田市がともに331人、鹿児島県出水市が248人-だった。

 一方、全市町村の6割を超える150市町村が本年度、移住関連予算を計上した。98市町村が東京などで移住相談のセミナーやフェアを開催(予定を含む)。33市町村は短期間の「お試し滞在」などの移住体験ツアーを実施している。

=2015/12/06付 西日本新聞朝刊=

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