朝倉の被災者、窮状続々訴え 仮設住宅入居延長要請 県の姿勢に「はがゆい思い」

 「復旧工事が進まず仮設住宅を出られない」「もっと時間がほしい」-。九州豪雨被災者の応急仮設住宅の入居期限2年が夏に迫る中、小川洋知事に延長を求めた朝倉市の仮設住宅に暮らす被災者たちは11日、県担当者に窮状をぶつけた。早い人で退去まで3カ月余り。被災者たちは「(現状では)延長はない」とする県の説明に不満をもらし、県側に再考を強く求め、救済への望みをつないだ。

 要請したのは仮設住宅3カ所の約20人。九州北部豪雨朝倉被災者の会(伊藤正彦代表)を結成し、「被災者を見捨てるな!」と大書した横断幕を掲げて県庁へ入り、県福祉総務課の担当者に要望書を手渡した。

 「家を流された所に自宅を再建しようにも大雨が降れば現地はまだ危険」「無理に古里に戻っても道が壊れ、バスの定期便もない。高齢者には不便」「経済的に困窮している。延長してもらわないと困る」…。すぐ退去できない理由を県へ口々に訴える被災者。「少なくとも1、2年の延長を」と被災者に寄り添った施策を県に強く要請した。

 現状では法的に「困難」との県の立場に対し、被災者は、国との延長の再交渉-など3項目を改めて要望した。期限延長の難しさを朝倉市が被災者に早く伝えなかったこともあって困惑する被災者。県の説明に伊藤代表は「はがゆい思い」と語り、残り時間が少ない中で再検討に期待する。みなし仮設住宅にも呼び掛けて被災者の声を大きくしていく考えを示した。

=2019/04/12付 西日本新聞朝刊=

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