「無症状者の早期発見を」 クラスター発生の病院長語る…大分

大分医療センターの穴井院長

 九州で初めて新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した国立病院機構大分医療センター(大分市)の穴井秀明院長(64)が27日、西日本新聞などの取材に初めて応じた。発症前の感染者が検査入院したことが感染源となった可能性を指摘。入院や受診に来た無症状者らの早期発見が重要との見解を示した。

 センターでは3月19~25日に医師や看護師、患者ら計24人の感染が確認され、うち60代女性が死亡。一部の患者は転院先で感染が判明し、大分、臼杵両市の6病院に感染が拡大した。

 センターは、大分県や厚生労働省クラスター対策班と感染経路を調べた結果、3月上旬に検査入院した男性が感染源とみられ、医師、看護師らとの接触などから感染が広がったと推察。「男性は入院時に症状がなく、退院後に発症した。無症状者らの“紛れ込み”から院内感染が広がる例が全国的にも多い」と述べた。

 クラスター発生を受け、緊急入院する全患者に肺炎症状を見つけるための胸部CT検査を実施。症状や投薬歴、感染者との接触などのチェックリストを作成している。風評被害が相次ぎ、職員計31人がカウンセリングなどを受けたことも明かした。

(岩谷瞬)

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