1月27日未明に沖縄市宮里の路上でバイクを運転していた男子高校生(17)と巡回中の男性巡査(29)が接触、高校生の右眼球が破裂し失明した事案で、沖縄県警捜査1課は18日、高校生に初めて聞き取りした結果を報道陣に発表し、「高校生が暴走行為をした」などの誹謗中傷を公式に否定した。会員制交流サイト(SNS)などで事実誤認に基づく投稿が目立つと指摘。捜査に基づく事実関係として、暴走行為に加えて「無免許」「盗難車」「ノーヘル」をいずれも否定した。(社会部・城間陽介)

 捜査1課の東濵貴大次席は「根も葉もない事実無根が拡散し、家族は息子の将来を心配している」と注意を求めた。16日から保護者立ち会いの下、事情聴取を開始。DNA採取し、接触時に巡査が所持していた警棒の鑑定を進めている。

 捜査1課によると、高校生の記憶は明瞭で、聴取に「警察官がいきなり目の前に現れ警棒で殴られた。怖くなって現場から逃げた」と話している。自ら119番通報で「バイク事故」と訴えた理由は「(警棒で殴られたと言えば)いたずら電話と思われると思った」と述べたという。

 一方、男性巡査は接触時、警棒を手に持った状態で「職務質問をしようとバイクに停止を求めたが止まらず、前に手を出して止めようとしたら手がぶつかった」と説明している。

 SNSでは発生直後から「沖縄で暴走族の高校生」「そんな時間(深夜)にノーヘルでバイク」「バイク盗難・無免許運転の可能性」など誤った情報が拡散した。

 本紙はNPO「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のガイドラインに基づきファクトチェックし、取材の結果、一連の投稿を誤りと認定していた。

 高校生と男性巡査に食い違いが生じている点について、捜査1課は発生時間帯が深夜で現場に街灯が少なく、お互いの見え方の問題があった可能性があるとみている。

 また、接触した男性巡査が同僚や上司に報告していなかった点は「警察官本人に、相手へけがを負わせたという認識はなく、認識が甘かったといえば甘かったかもしれない」とした。

【本紙取材班が実施したファクトチェック】

「高校生は暴走族」今も続く高校生への中傷 拡散された3つのデマ