闘う 衆院選注目の選挙区

新潟2区「安倍vs二階」見えぬ総力結集

衆院新潟2区は、自民党細田派(清和政策研究会)の細田健一と二階派(志帥会)の鷲尾英一郎による公認争いが過熱している。県連執行部や細田派出身で前首相の安倍晋三は「細田公認」を主張するが、党幹事長の二階俊博が鷲尾の後ろ盾となって調整が難航。派閥間の対立を含む保守分裂選挙となる見通しが強い。

「2区の公認候補は細田さんで決まっている」

安倍は10日、新潟県三条市で開かれた細田の国政報告会に駆け付け、約650人の聴衆に何度も念を押した。安倍は「鷲尾さんの能力や才能をどう生かしていくか、県連と党がいい解決方法を考えてもらいたい」とも語った。

細田の会合には、安倍のほか、地元市長や県議ら約50人の来賓が出席し、組織を挙げて細田を支援する態勢を印象付けた。細田は「2区のために一身をなげうって働く覚悟がある」とアピールし、会場は大きな拍手に包まれた。

新潟は元首相の田中角栄が強力な自民基盤を築き、かつては「保守王国」と呼ばれた。しかし、近年は野党共闘の効力を実証する地となり、前回の平成29年衆院選では、県内6選挙区中、自民が勝ったのはわずか2人。細田も当時無所属だった鷲尾に敗れている。

今回は、2区でも身内争いの脇で国民民主党の高倉栄、共産党の平あや子がそれぞれ出馬を準備。今後、漁夫の利を狙って候補を一本化する可能性もある。

「まとまれば勝てる可能性の強い選挙区で、2人で戦って負けることは絶対にあってはならない」

県連幹事長の小野峯生は6月30日、党本部で選対委員長の山口泰明ら党幹部と面会してこう訴えた。県連は鷲尾が31年に自民入りする際、「2区支部長は細田」を条件に了承した。このため、当初から細田を公認候補とする方針でいたが、鷲尾が出馬の意思を崩さないため、共倒れになることを危惧する。

経済産業省出身の細田は前回選挙で比例復活したが、24年、26年の衆院選は鷲尾に勝った。細田周辺は「公認問題は決着済み。鷲尾が比例代表に回るのが一番収まりがいい」と語る。

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