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携帯移行促進へ相談窓口 年明けにも事業者選定 

 携帯電話料金について、利用者が自分に合った事業者や料金プランを選べるように、総務省が中立的な立場で利用者の相談に乗る相談所事業者の育成に乗り出すことが26日、分かった。来年夏にモデル事業を数カ所で実施し、早ければ令和4年度の事業化を目指す。利用者が比較・検討しやすい環境を整備することで競争を促し、携帯電話料金の引き下げにもつなげたい考えだ。

 年明けにもモデル事業を行うための事業者選定を開始。家電量販店やショッピングモール、中古携帯の販売店などの参加を想定している。

 総務省はこれまで、携帯事業者間の競争を促すため、電話番号を変えずに別の携帯会社に乗り換える「番号ポータビリティー(持ち運び)」制度の導入や、2年契約プランを中途解約する際の違約金を千円以下に規制するなど、他の携帯事業者に移行しやすい環境整備に努めてきた。だが、携帯ユーザーの4割が乗り換え経験がないなど、思うように乗り換えは進んでいない。

 利用者が料金プランを見直そうと思っても、多くは契約する携帯ショップに行くため、他社のサービスを知る機会が乏しいことが背景にある。

 また、複雑な料金プランも乗り換えを妨げる要因だ。料金プランは各社のウェブサイトでも確認できるが、家族割引など各種割引の有無によって値段が大きく変動するため分かりにくい。総務省の調査では、自身が加入しているプランですら内容を理解していると回答したのは約3割。必要以上のデータ容量を契約するなど、利用実態にそぐわない契約をしている人も多いという。

 そこで総務省は、携帯ショップでは聞けないような、他社プランを含めたアドバイスを行い、契約までをサポートする相談所事業の育成を目指す。格安スマートフォン事業者や、NTTドコモやソフトバンクが12月に打ち出したオンライン専用の料金プランについても、加入の手助けを行う。

 モデル事業では、携帯事業者から契約に応じた手数料を受け取る方式や、利用者から相談料を徴収する方式などビジネスモデルの検証を行うほか、利用者のニーズなどについても調べる方針だ。