有原、レンジャーズ!ポスティング交渉期限前日、合意の舞台裏

[ 2020年12月27日 05:30 ]

日本ハム・有原
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 大リーグ公式サイトは25日(日本時間26日)、レンジャーズが日本ハムからポスティングシステムで大リーグ移籍を目指していた有原航平投手(28)と契約合意したと伝えた。契約内容は2年総額600万~700万ドル(約6億2400万~7億2800万円)で、そこから譲渡金120万~140万ドル(約1億2500万~約1億4600万円)が日本ハムに支払われる。2人の駐日スカウトの存在など、メジャー取材歴25年の奥田秀樹通信員(57)が舞台裏に迫った。

 北の大地からテキサスへ。有原がレンジャーズに移籍する。大リーグ球団との交渉期限は米東部時間26日午後5時(日本時間27日午前7時)。代理人のジョエル・ウルフ氏が「7、8球団が興味を示している」とした争奪戦。レッドソックス、パドレスなどの名前が挙がる中、レンジャーズが選ばれるべくして選ばれたといえる。

 (1)2人の駐日スカウト コロナ下で今季は球団関係者の移動も制限された。米国外の選手は、スカウトだけではなく、GMらフロントが現地入りして行う例年の選手視察ができなかった。情報が映像のみに限られる状況で、ジョー古河、渡部一両氏を駐日スカウトに置くレ軍は有利だった。駐日スカウト不在の球団は、前年より成績を落とした有原獲得に動きづらい背景もあり、日本で直接視察を重ねたレ軍が最終的に信頼を勝ち取った。

 (2)先発ローテーション入り確実 レ軍は今季22勝38敗でア・リーグ西地区最下位。オフにはエース右腕のリンをトレード放出し、先発陣は手薄だ。有原の今季20試合、投球回数132回2/3もプラス。ギブソン、ライルズの両先発右腕は今季投球回数が70以下で、両投手とも来季は投球回数制限が敷かれる見込み。有原の登板機会は十分、与えられる。

 (3)日本選手との縁 ジョン・ダニエルズ編成本部長はダルビッシュ(現カブス)獲得に尽力した。クリス・ウッドワード監督は現役時代にメッツで石井一(現楽天監督)や松井稼(現西武2軍監督)と同僚。マリナーズでアジア系初のメジャー監督だった、日系4世のドン・ワカマツ・ベンチコーチも日本選手への理解が深い。

 今オフ、ダニエルズ編成本部長は「我々は“育成マインド”で行く。補強する選手はその目的にフィットする選手」と語っていた。有原は2年後にFAになるが、すぐに結果を求められず、新天地でのアジャストに猶予がある。有原が「凄く刺激になる」としていた日本ハム時代の後輩のエンゼルス・大谷、マリナーズ・菊池も同地区。対決が今から楽しみだ。(奥田秀樹通信員)

 ◆有原 航平(ありはら・こうへい)1992年(平4)8月11日生まれ、広島県出身の28歳。広陵では3年時にエースとして春夏連続甲子園出場。早大では1年春から六大学リーグに登板し、3年秋に最優秀防御率を獲得するなど通算19勝12敗。14年ドラフト1位で4球団競合の末、日本ハム入り。15年新人王。19年に15勝で最多勝を獲得。1メートル89、95キロ。右投げ右打ち。

 ▽テキサス・レンジャーズ ア・リーグ西地区に所属。1961年にワシントン・セネタースとして創設された。72年にアーリントンに移転し、現在のチーム名に。本拠地は今年から開閉式屋根付き球場のグローブライフ・フィールド。屋根が閉じている際は打球が飛ばないとも指摘されている。まだワールドシリーズ制覇はない。日本ハムとは18年1月から業務提携。日本選手は過去に伊良部秀輝、大塚晶文、福盛和男、建山義紀、上原浩治、ダルビッシュ有、藤川球児の7投手が所属した。

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