東京五輪の強行開催に警鐘…緊急事態宣言の発令なら損失は「中止より大きい」 野村総研が試算

2021年5月25日 19時20分
 東京五輪・パラリンピック開催を中止した場合、経済的な損失が1兆8千億円規模に上ることが、野村総合研究所の試算で25日、分かった。一方、試算を公表した専門家は、開催をきっかけに新型コロナウイルス感染症が再拡大して緊急事態宣言が発令されれば「経済損失の方が(効果より)大きくなる」と指摘、強行開催に警鐘を鳴らした。
 試算を発表したのは、木内登英エグゼクティブ・エコノミスト。大会組織委員会が昨年12月に公表した予算などを基に、国内観客の受け入れの有無や規模に応じて、チケット購入や関連する消費支出などへの影響額をそれぞれ分析した。
 国内観客を制限なく受け入れる場合の経済効果は1兆8108億円と算出し、大会中止なら同額の損失が生じるとした。また無観客開催の場合の経済効果は1468億円減り、1兆6640億円にとどまると予想した。
 これに対し感染防止のためこれまでに発令された緊急事態宣言の経済損失も推計した。昨年4~5月の1回目は6兆4千億円、今年1~3月の2回目は6兆3千億円、4月以降の3回目は少なくとも1兆9千億円と計算。大会を中止した場合でも経済損失は「宣言1回分によるよりも小さい」と指摘した。(共同)

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