12歳差の「ご近所さん」気心の知れたペアで初代覇者を狙う水谷隼・伊藤美誠組<卓球混合ダブルス>

2021年7月26日 11時04分
混合ダブルス準決勝 台湾ペアを破り決勝進出を決めた水谷隼(左)、伊藤美誠組=東京体育館で

混合ダブルス準決勝 台湾ペアを破り決勝進出を決めた水谷隼(左)、伊藤美誠組=東京体育館で

 年の差は12歳、ともに静岡県磐田市出身で、互いの実家が「ご近所さん」の2人が、世界の頂点を目指す。「みまじゅん」ペアこと卓球の伊藤美誠みま(スターツ)水谷じゅん(木下グループ)組が、五輪初採用の混合ダブルスで、26日夜の決勝に挑む。幼少期から水谷を兄のように慕ってきた伊藤は「お互いにどんな小さいことも話ができる仲」。水谷も「後にも先にも、こんな奇跡的な巡りはない」。心を躍らせて戦ってきた。
 伊藤は4歳で、水谷の父・信雄さんが主宰する同市の「豊田町卓球スポーツ少年団」に入った。週2回、保護者も手伝う練習に参加。「みんなでワイワイできるから楽しい」と心のよりどころにした。
 幼少期の伊藤を知る水谷は「僕の中では、彼女の年齢は5、6歳からずっと止まったまま」と冗談めかして言う。自身は中学生から国外で経験を積み、日本を代表する選手へと駆け上がったが、地元に帰ればクラブに顔を出し、伊藤とも遊んだりおんぶしたりと触れ合っていた。時には伊藤の自宅に行き、のんびり過ごしたこともあった。
 「隼みたいな選手になりたいと思っていた」と親しみを込めて水谷を名前で呼ぶ伊藤も早くから頭角を現し、小学校6年生のときに初めてワールドツアーに参加した。そこには水谷も出場していた。「一緒の舞台で戦いたいという思いはずっとあった。かなったときはうれしかった」と喜んだことを覚えている。
 2016年リオデジャネイロ五輪でそれぞれメダルを獲得するなど、キャリアを重ねるにつれ選手としても認め合ってきた2人。混合ダブルスを初めて組んで国際大会に参戦したのは19年7月だが、伊藤は「試合をすればするほど良くなるのが分かる。毎回楽しい」。気心の知れた関係性で、プレーの幅を増やした。水谷は「優勝したいという気持ちが強く芽生えたし、今回はそのチャンスがある」との決意で東京五輪に臨んだ。
 強豪の中国との決勝に向け、伊藤は「楽しんで勝ちたい」と目を輝かせれば、水谷も「期待しておいてください」。この種目の初代覇者を狙う。 (磯部旭弘)

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