医学部入試で女性や浪人生を不利に、順天堂大に受験料返還義務 東京地裁判決

2021年9月17日 20時41分
東京地裁などが入る裁判所合同庁舎=東京・霞が関

東京地裁などが入る裁判所合同庁舎=東京・霞が関

 順天堂大(東京都文京区)が医学部の入試で女性や浪人生を不当に不利に扱ったとして、特定適格消費者団体「消費者機構日本」が順大に受験料の返還義務などがあることの確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、差別的な取り扱いだったと判断し、2017、18年度入試で不合格となった受験生に受験料を返還する義務があると認めた。
 和波宏典裁判長は「性別や浪人年数を試験に考慮することは、大学の定める基準に明示されていない」とし、「女性や浪人生に不利益な基準が事前に明らかにされていたら、出願しなかった」と指摘した。
 訴訟は多数の被害者の一括救済を図る消費者裁判手続き特例法に基づき、機構が受験生に代わって起こした。訴訟手続きは2段階で、大学の返還義務を認めた判決が確定すれば、次は個別の支払額を決める。機構は1人当たり約4万~6万円が返還され、対象者は約3000人に上るとみている。
 機構の佐々木幸孝副理事長は判決後、オンラインで会見し、「不利益な扱いを受けた受験生に、損害賠償が認められる道筋がたった。今後、返還の手続きが始まるので積極的に参加してほしい」と話した。
 医学部の不正入試問題を巡り、大学側の返金義務を認めた判決は、東京医科大に続き2例目。東京医科大の不正入試を巡っては今年7月、元受験生約560人分、計約6750万円の受験料を返還することで、大学と機構との間で和解が成立した。

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