処理水海洋放出ならトリチウム500倍希釈 福島第一、東電が素案公表

2020年3月25日 02時00分
 東京電力は二十四日、福島第一原発で発生する汚染水を浄化処理した後の水について、海や大気への放出が決まった場合の処分方法の素案を公表した。海洋放出では、浄化処理しても除去できない放射性物質トリチウムの濃度を、国の排出基準の四十分の一程度の濃度に海水で大幅に薄めてから処分するとしている。
 素案によると、海洋放出では、トリチウムの濃度の基準を一リットル当たり一五〇〇ベクレル未満に設定。福島第一でくみ上げている地下水を海に放出する際と同じレベル。浄化処理後の水を海水で五百~六百倍に希釈し、構内の港湾から放出する。
 大気への放出は、ボイラーで加熱・蒸発処理し、基準を満たすように空気で薄めるとした。
 処分期間は、三十年程度かかる可能性を示した。
 浄化処理後の水の七割には、トリチウム以外にも国の基準を超える濃度の放射性物質が含まれており、放出前に再浄化する方針。二〇二〇年度後半に既存の浄化設備で二千トンを処理し、基準を下回るか調べる。
 浄化処理後の水の処分を巡っては、政府の小委員会が二月、海洋と大気の二つの放出が現実的だと提言。これを受け、処分方法を決める政府は、四月から福島県内で自治体や業界団体の意見を聴く会合を開く。
 東電は二〇年末までに百三十七万トン分のタンクを造る計画で、その後の大幅な増設予定はない。二二年夏ごろには、タンクが満杯となる見通しを示している。 (渡辺聖子)

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