「令和の怪物」が岩手大会の決勝で出場しないまま敗退したことに、2006年夏の甲子園で948球を投げ抜いた日本ハムの斎藤佑樹投手(31)は、どう考えているのか? 大前提として「この件については正解はないと思います」とした上で斎藤は「一番大事なのは(国保)監督と佐々木君の関係性だと思います」と訴え、こう続けた。

「自分は結果的に勝てましたが、もし(早実の)和泉監督に『やめろ』と言われれば投げなかったと思います。それだけ和泉監督には全幅の信頼を置いていましたし、関係性がありましたから」

 実際には、斎藤は全7試合をほぼ一人で投げ切り、悲願の全国制覇を成し遂げた。仮定の話にはなるが、今回の佐々木と同じ境遇ならどうしていたのか? 斎藤は「自分だったらもちろん投げたい気持ちはあるでしょうし、チームメートと甲子園に行きたい気持ちもあると思う。ただ、もし自分(のコンディション)が同じような状況だったら、投げる自信がなかったかもしれない。『次点の投手が投げたほうが勝つ確率が上がるのではないか』と考えてしまうと思います」と言う。やはり経験者でも“正解”を導き出せる問題ではないようだ

 高校球界では、かねて「球数制限の導入」が議論されてきた。斎藤は以前に本紙のインタビューで「連盟の方々はベターな方向にかじを取ってくれる。その支えがあって自分もあの球数を投げきることができたので」と高野連の決定への支持を表明していた。この考えを軸に「現役球児たちに賛否のアンケートを取ったらいいと思うんですよ」とも提案する。

 ただ、どう転んでも賛否両論が巻き起こるのは間違いない。その点についても斎藤は「もちろん『子供に将来を決めさせるのは酷だ』とか『大人が考えてやるべき』という意見も分かります。ただ、結局将来後悔したりするのはやってる本人ですし、後悔しないようにするのも本人だと思うんですよね」と冷静に見ている。

 部活動という教育的な側面を越え、高校野球は社会的な関心も高い。斎藤の一案を含むさまざまな意見が飛び交うなか、今後どのような変革を迎えていくのか注目が集まる。