虎OBの皆さん、若虎たちの猛練習を見に来てください! 阪神首脳陣から、そんなボヤキの声が聞こえている。

 高知・安芸での秋季キャンプも中盤に突入。選手はおのおの課題に取り組み、連日遅くまで特打、特守で汗を流している。自主性重視の方針を打ち出している矢野燿大監督(50)も「うまくなるにはどうするか考えて数を受けるしかない。今年はみんな課題があるし、早出練習でも大山なんかずっとやっている。ここにいる選手で、やらなくていい選手はいない。(練習)量が自然と増えるのも当たり前」と最後まで手綱を緩める気はない。

 今季のチーム失策数は12球団最悪の102個。特に大山は両リーグワーストの20失策と目も当てられない状態だったが、久慈内野守備走塁コーチは「大山も意識が変わってきた。今年あれだけミスをして、みんながいい危機感を持って『こうしないと』というのが伝わってきている。内野手だけでなく各自が一つひとつ(失策を)減らしていけば相当の数が減る。しっかりとやっていけば半分の50個もいける」と宣言しているほどだ。

 そんな充実した今キャンプで残念なのが、取材に訪れる虎OBが少ないこと。ある首脳陣は「これだけいいキャンプをやっているのにOBの方が見に来ないんですよ。去年は新監督だったこともあり、秋でも誰かは来てもらっていたはずなんですが…」と嘆く。

 確かに11日現在で監督経験のある大物OBの訪問は皆無。例年ほぼキャンプインから視察してきた“浪速の春団治”こと川藤幸三OB会長も、まだ姿を見せていない。

 今年は辛口の虎OBから「試合でミスするのは追い込んだ練習をやってこなかったせいだ」と手厳しい指摘が続出した。“矢野監督の自主性=ゆるい”という論調だが、矢野タイガースは生まれ変わろうとしている。今こそ見に来てほしいと言えるのは自信があるからこそ。来季が楽しみだ。