20日に開幕を控えたNPBが、クライマックスシリーズ(CS)の中止を含めた日程再調整を視野に入れていることが分かった。

 恐れていたプロ野球の開幕延期が現実味を帯びてきた。プロの本拠地でもある甲子園球場を舞台とするセンバツが「無観客か中止」を決めたショックは大きく、20日の開幕に暗雲が漂っている。

 NPBは現時点で「20日開幕」の方針を変えていない。ただ水面下ではすでに様々な可能性をにらんだ12球団間の調整も始まっている。数球団の球団幹部を直撃すると「予定通り20日に開幕すべし」という声がある一方、段階的な開幕延期、中断に備えた具体的な日程対策も挙がっていることが分かった。

 一つは「本格的なダブルヘッダーの導入」だ。1999年を最後にNPBでは実施されていないが、記録的豪雨の影響などにより近年はたびたび議論の的となってきた。「選手の負担やチケット販売、観客の入れ替えをどうするかなどの課題はある」(セ球団幹部)ものの、コロナ禍がいつ収まるのか見通しが立たないなかでは避けて通れない選択肢ということだ。

 さらなる一手は「クライマックスシリーズ(CS)の中止」。2007年の導入以来、上位球団には大きな収入機会となってきたが、重要なのは12球団が143試合を完走すること。延期期間の長さ次第では検討せざるを得ない。

 最後の手段は「東京五輪期間中の公式戦強行」。今季に関しては地元開催五輪に水を差さないよう、大会期間中は一軍公式戦を開催せず、五輪開催地以外で無観客の練習試合を行うことが決まっていた。だが現状は五輪の開催すら危うい。

 前出の球団幹部は「仮に五輪が数か月延期になった場合、その間の公式戦をどうするのか。また中止になった場合は中断する意味もない。あらゆる事態を想定するのは当然」と話す。侍ジャパンに多くの選手を供出している球団のファンからは不公平との声も上がるだろうが「プロ野球は興行。球団が傾いては元も子もない」とした。

 NPBはJリーグと共同設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の9日会合で公式戦開催の可否を検討。専門家チームの答申を得て12日にも最終判断する見込みとなっているが…。見えない敵を相手に球界の混乱は拡大するばかりだ。