2つの“芸術祭”を巡って「表現の自由」論争が再燃した。29日、大村秀章愛知県知事(59)は27日に同県の施設「ウィルあいち」(名古屋市東区)で開催された「芸術祭 あいちトリカエナハーレ2019『表現の自由展』」について「内容からして明確にヘイトにあたると言わざるを得ない」と発言、法的措置を考えていることを明らかにした。

「あいちトリカエナハーレ」は政治団体「日本第一党」の党首・桜井誠氏(47)が企画。タイトルは愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」を意識したものだ。

 あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」では慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」、昭和天皇とみられる人物を含む肖像画が燃える映像「遠近を抱えて」などを展示。芸術なのか? 芸術作品なら許されるのか? 公金投入の是非など大きな議論を巻き起こった。

 桜井氏は「あいちトリカエナハーレ」開催にあたり「あいちトリエンナーレ2019でも議論となった表現の自由につきまして、改めて私共から問題提起を致し皆様に考えて頂きたいと思っております」と呼びかけ、ベトナム戦争時の韓国軍兵士の蛮行を表現する「ライダイハン像」、不自由と大きく書かれたバッグ、「ルンルン楽しい日韓断交」「犯罪者はいつも朝鮮人」と書かれた「かるた100連発」などを展示した。

 大村知事に「あいちトリカエナハーレ」はヘイトと認定された桜井氏は、同日夜にユーチューブの公式チャンネルで「重大な名誉毀損。これから先もトリカエナハーレを展開しようとしていたところで、あのような発言をされて我々の芸術活動が妨害された」と反発。「愛知県知事、大村を相手どって法的措置を取ります。検討じゃないです。直ちに行うよう、指示を出しました」と法的措置の手続きに入ったことを明かした。

 桜井氏は「私はチマチョゴリを着てライダイハンの説明をしただけで、ヘイトなんて全くやっていない」「かるたは売っている物。それがヘイトというのは検閲じゃないですか」と説明。表現の不自由展の再開での大村知事の「表現の自由は守られなければいけない」発言を争点にする意向だ。

 ネットでは2つの芸術祭について「表現の自由ならOK」「どちらもヘイト」「大村知事はダブルスタンダート」など様々な意見が出ている。

 芸術祭での大村知事の対応に反発してきた、明治天皇のやしゃごで作家の竹田恒泰氏(44)は自身のツイッターを更新。大村知事が「明確にヘイト」とした記事を引用し、「大村知事よ、お前がいうな!」とつぶやいた。