2016年に始まった電力自由化。CMなどで広告を目にすることが多くなりましたが、実際のところ、あまり違いが良くわからないし、ひとり暮らしの電気代もたいした額ではないしと、積極的に調べたりはしていませんでした。
そんなごく一般的な知識の私が、自然エネルギーに興味を持ったきっかけは、Twiggy.の松浦美穂さんの取材。環境省で大使も務める柴咲コウさんとの対談で、話題はヘアドネーションから食生活や環境問題までに及びました。そこで知ったのが、太陽光・水力・風力発電の自然エネルギーを用いた会社「自然電力のでんき」だったのです。
恥ずかしながら新電力への一番の疑問は「安定した電気が供給できるのか?」「自分の家だけ停電、なんてことが起きないのか?」ということでした。でも実際は、自分がお金を払う小売会社が変わるだけで、送電や配電の仕組みは変わらないため、電気の質には何も変わらないこと、またCO2の削減や自然エネルギー発電所を増やす一助となると知り、引っ越しを機に切り替えました。
もちろん停電などのトラブルが起こるわけもなく、毎月メールで明細が届きます。そこにはわかりやすく「電気を買う費用」、「電気を送る費用」、「事業を行う費用」、そしてすべての電力会社と同様に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が表示されています。料金も今までの大手電力会社とほぼ変わりません。
ただエネルギーの話となると、なかなかとっつきにくいのも事実。私が興味を持ち始めたのも、一見すると関係ない分野の人たちによるものです。取材で聞いたtwiggy.のほかにも、表参道のニールズヤードや、レストランCICADAなど、自然電力に切り替えている企業がすでに近くにあったことが、身近に感じる一因となりました。
そして、アーティストのオラファー・エリアソンも、エネルギー問題を考えるきっかけとして欠かせない存在でした。テート・モダンに霧を発生させた「ウェザー・プロジェクト」で一躍有名になり、光や水などの自然現象をモチーフにした大規模なインスタレーションで知られています。日本で10年ぶりとなる東京都現代美術館での展示「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」が、現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期中なのですが、まさにテーマは再生可能エネルギーへの関心と気候変動への働きかけについて。
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アートで人々の意識に問いかけるだけでなく、彼は具体的なプロジェクトも行っています。電力にアクセスできない地域に住む人々に携帯式のソーラーライト「リトルサン」を届ける活動もそのひとつ。2019年の国連発表によると、世界で現代的電力を使用できない人々は10億人弱。安定したエネルギーインフラがないことは、空気汚染といった環境と健康に被害をもたらすことにも繋がります。この小さなランプを普及することが、子どもの教育や女性の安全な暮らし、そして経済活動を後押しする、大きなインパクトとなると、地道な活動を続けています。
このソーラーライトはMoMAなどでも取り扱っており、購入することで支援も可能です。災害用やキャンプ用として、単純にアイテムとしても欲しくなる可愛さです。
一方で、グリーンエネルギー政策や環境団体への疑問を投げかけたのが、先日のアースデーにYoutubeで無料公開された、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー「Planet of the Humans」。環境保護推進派やその取り組みのダークサイドを掘り下げ、もうひとつの“不都合な真実”をあぶり出した批判的な内容で、賛否はありますが、これもまたひとつの論調として興味深いです。
エネルギー問題は未だ発展中でもあり、難しい議論も多いですが、何気なく暮らして選択を放棄してしまうのはもったいない。電力自由化によって、どこにお金を払うか選べるようになったことは、自分が使う電力の発電方法を意思表示できるということ。知りうる限りの知識でも行動に移すこと、それは選挙権みたいなものではないかな、と思っています。
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