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【元文春エース記者 竜太郎が見た!】NHKが「総務省接待」問題に戦々恐々 東北新社は“第2の天下り”先、元幹部の人脈を対総務省工作に利用か

「菅義偉首相の長男が総務省の高級官僚を接待していた問題が国会で追及されていますが、累が及ぶのではと戦々恐々なのがNHKなんです」(NHK幹部職員)

週刊文春がスクープした菅首相の長男、菅正剛氏の総務官僚4人への接待は少なくとも過去12回が明らかとなった。同氏は、総務省の許認可を受け衛星放送を運営する東北新社の部長職にあり、その子会社の取締役も兼務。総務省ナンバー2の谷脇康彦、吉田真人両総務審議官ら幹部が高額飲食接待とタクシーチケットを受けたことは国家公務員倫理法に基づく倫理規定に抵触する疑いがあり、また東北新社は菅首相の威光を利用して、陰で政界工作していた疑いが持たれている。

東北新社は外国映画の日本語版制作で有名だが、テレビの制作会社としても業界最大手だ。

「東北新社はNHKと結びつきが深く、『SWITCHインタビュー 達人達』や『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』など多数の番組制作を請け負っており、子供番組『オトッペ』の商品化も任されています。衛星ハイビジョン担当局長だった小野直路氏は2005年に理事となり、その後NHKエンタープライズ社長、NHK副会長に就任しましたが、2015年に東北新社の社外取締役・監査等委員になりいまも現職。衛星放送協会の会長も兼務しています」(同前)

NHKの理事は関連会社に天下りするのが常だが、局内で東北新社はその次の“第2の天下り”先としてみられている。

「NHK政治部生え抜きで要職を歴任し、夜のニュース番組のキャスターも務めたことがある著名なOBも現在は東北新社の顧問の肩書だそうです。彼が迎え入れられたのも、監督官庁の総務省と向き合うNHKの人脈や経験、情報を期待されてのこと。あの規模の会社で複数のNHKの元幹部が迎え入れられているのは、異例中の異例といえます」(NHK報道関係者)

要はNHK人脈の情報が結果的に、東北新社と菅正剛氏の対総務省工作に利用されていたということか。

「22日の中間発表で総務省から官僚接待リストが出る予定ですが、4人以外さらに7人増えるといわれている。また東北新社の“政界工作リスト”が存在するらしく、各社はいま必死でそれを追っています。東京地検に告発状が出されるという話もあり、今後目が離せない」(政治部記者)

波紋は広がりそうな勢いだ。

■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋『週刊文春』編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に著書『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』(文藝春秋)を出版。

ジャーナリスト

1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋『週刊文春』編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。

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