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米政権がグーグル提訴 「巨大な情報市場」にいらだち、GAFA解体に発展か トランプ氏「再選」が命運を左右

米カリフォルニア州にあるグーグル本社(共同)

 米ドナルド・トランプ政権が「伝家の宝刀」を抜いた。米司法省がインターネット検索最大手グーグルを独占禁止法(反トラスト法)違反で首都ワシントンの連邦地裁に提訴した。グーグルだけでなく、アマゾン、フェイスブック、アップルの「GAFA」解体に発展するのか。鍵を握るのは11月3日の米大統領選だ。

 訴状によると、グーグルは、iPhone(アイフォーン)を展開するアップルに年数十億ドル(数千億円)を支払って、グーグルの検索サービスを初期設定にしているほか、基本ソフト(OS)「アンドロイド」を使用するスマートフォンメーカーや通信会社とも契約を締結。ブラウザーでも、グーグルの検索サービスを初期設定とする代わりに収益を配分する契約を結んでいる。

 検索サービスで9割超の世界シェア(市場占有率)を握るグーグルが検索サービスに連動して得た巨額の広告収入を投じ、不当な取引を続けてきたと司法省は批判している。

 こうした主張に対し、グーグルは「重大な欠陥がある提訴だ」と反論。無料でサービスを提供しており、司法省側の訴えは、消費者が受ける具体的な損害に言及していないと強調した。

 GAFAは巨大な情報と市場を握り、国家を超越した存在になりつつあるとして各国政府が警戒を強めている。巨額な収益を上げる半面、製造業と比べて税負担や雇用の貢献が限定的であることについてもトランプ大統領は就任当初からいらだちを隠さなかった。

 米司法省はフェイスブックなどのSNSに広く認められた免責範囲を制限する現行法改正に向けた素案を公表。米下院の委員会もGAFAの事業分割を含む抜本改革を求める報告書をまとめるなど、グーグル以外にも刃は向けられている。

 独禁法違反をめぐっては、マイクロソフトも1990年代後半に訴訟となり、いったんは解体命令が出たが、民主党のビル・クリントン政権から共和党のジョージ・ブッシュ政権に代わった後に和解が成立した。

 今回もトランプ氏が再選されるかどうかがGAFAの命運を左右することになりそうだ。

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