スポーツその他

“殺人酷暑”からエースを守れ! 記録的な暑さ…各校監督は球児の体調最優先

歴史的な“殺人酷暑”の中で、信頼を置くエースにどこまで投げさせるか。選手を預かる監督は甲子園へ向けて、重大な選択を迫られている。

西東京大会準々決勝は23日、神宮球場で2試合が行われ、日大鶴ケ丘は3-2で創価に勝利。昨夏代表の東海大菅生は八王子学園八王子を5-3で下し、5年連続の4強入りを決めた。

この日は1年で最も暑くなるとされる大暑。都心では統計がある1875年以降、3番目の最高気温39度を記録した。

日大鶴ケ丘の萩生田博美監督(45)は「この暑さの中では完投なんて無理ですよ。絶対にもたない」と最速152キロの右腕エース、勝又温史投手(3年)を1-2の5回限りで下ろし、継投策で逆転を呼び込んだ。

「勝ちが近づけば、確かに引っ張りたくなります。でもチームの決めごととして、きょうは5イニングでつなぐと決めていた」。勝利第一の誘惑に駆られつつも、エースの負担軽減を優先した。

昨夏甲子園4強の東海大菅生も3投手の継投で追撃をかわした。「大会期間中は選手の疲労を抜くことだけを考えている」と話すのは若林弘泰監督(52)。「継投のタイミングと選手の体調の見極めが何よりも重要。今年ほど監督の手腕が試される大会はないと思う。プレッシャーはすごいですよ」と明かす。

先発完投は理想としつつ、この日も「3人での継投は決めていた。昨年は2人を交互に先発させていたが、今年は去年より暑い。完投はダメージが大きすぎる」と体調最優先の采配を貫いた。

気象庁はこの日、東西で「気温の高い状態は、今後さらに2週間程度は続く見込み」との予測を発表。大阪府の松井一郎知事は「われわれの時代とは暑さが違う。状況の変化に応じて見直されていくべき」と大会開催時期の見直しを求めた。今夏の暑さは常軌を逸している。勝利を追いつつ球児を守る、薄氷の決断が続く。(片岡将)

©2024 The Sankei Shimbun & SANKEI DIGITAL Inc. All rights reserved.