野球

落合博満氏、大船渡・国保監督に助け船「周りがとやかく言う問題ではない」

人生初の始球式を行った落合氏を、長男・福嗣(左)と信子夫人が見守った

 高校野球岩手大会決勝の花巻東戦で最速163キロ右腕の佐々木朗希投手を登板せずに敗れ、甲子園出場を逃した大船渡・国保陽平監督(32)に強力援軍が現れた。

 元中日監督の落合博満氏(65)が25日、JFE東日本が初優勝した都市対抗野球決勝(東京ドーム)で人生初という始球式に登場。声優として活躍している長男・福嗣(31)と信子夫人(74)が見守る中、東芝府中時代の背番号「3」のユニホーム姿でノーバウンド投球。「届いてよかった。感謝の言葉だけですね」とホッとした表情を浮かべた。

 落合氏は佐々木の登板回避について「周りがとやかく言う問題ではない。『投げさせれば勝てるのに』、『なんで投げさせない』という声は出るでしょうけど、指揮を執っている監督が最善策を考えただけのこと」とピシャリ。

 「当事者で解決しなければいけない。自分たちに責任がない人が騒ぐんであって。周りが騒ぎたいのはよくわかるけど、議論してはいけない。彼らには将来があるし、学校には学校の、監督には監督の立場がある」とオレ流節が炸裂した。

 落合氏といえば、中日監督時代の2007年日本シリーズ第5戦で、8回までパーフェクト投球の山井大介投手を交代させ、今回の国保監督同様、物議を醸した。

 しかし「あれは(今回とは)別ですよ。山井が『俺はもうダメ』と言うんだから、ダメなもんはダメ。本人が行くといえば行かせた。ダメというのに、行かせるわけにはいかない。こっちだって困ったんですから」と明かす。そんな裏事情があったのに、落合氏は一切言い訳をせず「監督の仕事はそういう仕事です。ふっふっふ」と全責任をかぶった。

 東洋大を中退し、東芝府中からプロ入りした落合氏は「1回野球をやめた人間が、都市対抗に出ることで門が開けた。これがなかったら、今ここにいない。そういう意味では原点なんだろうね」としみじみ。社会人野球の指導については「教えてくださいという者があれば断る理由はない。66歳になるけど、ここ(頭)は元気なんでね」と意欲をみせた。次はどこのユニホーム姿をみせてくれるのだろうか。(塚沢健太郎)

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