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ロンドン五輪フェンシング銀の三宅諒、配達員バイト開始 初日は4688円

フェンシングの2012年ロンドン五輪男子フルーレ団体銀メダリスト、三宅諒(フェンシングステージ)が、配達のアルバイトを始めた。目標とする東京五輪は来夏に延期されたものの、新型コロナウイルス感染拡大は収束せず先行きが見通せない中、トレーニングと活動資金捻出を兼ねて決断した。アスリートと支える企業の関係を考察して発想を転換した、前向きな“行動”だ。

「バイト始めます」。4月29日未明、三宅は投稿サイト「note」にこう書きこんだ。フードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の配達員に登録し「理由は他でもなく、お金がないからなんです」ともつづった。三宅は企業に所属せず、個人でスポンサーを募って活動している。現在、「自分がそれに見合う人物かを考える材料がない」として、契約更新を「保留」にしているという。

五輪代表争いのランキングは凍結され、本番までの試合も未定。練習場所も閉鎖されており、「無責任にスポンサーを得ることは企業にとって良くないことどころか自分自身にとっても、途方もないプレッシャーを自分に掛けてしまうことになる」と説明した。

そこで発想を転換した。三宅は30日の続報で、アスリートを支援する企業は勝利やメダルなどの「結果」ではなく、勝ってくれそうな「イメージ」を求めていると分析。「まず一歩を動き出していることで生み出した“イメージ”に対して共感し応援してもらえる方や企業の方がいれば僕は自信を持って頑張り続けることができる」とした。

初日のアルバイト結果は「8軒回って4688円でした!まずはできることをやるのみ!」と報告。「少なくとも僕は目標を再設定できたのです。アスリートにとって目標を決められるということはこの上ない喜びです」と、東京五輪へ前向きに踏み出している。(産経新聞・森本利優)

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