ジョンソン・エンド・ジョンソン ワクチン臨床試験 一時中断

ジョンソン・エンド・ジョンソン ワクチン臨床試験 一時中断
アメリカの製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンは、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を一時的に中断したことを明らかにしました。会社は中断の理由を「試験の参加者に原因不明の症状が出たため」としています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは12日、アメリカなどで行っている開発中の新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を一時的に中断したことを明らかにしました。

中断の理由は「臨床試験の参加者に原因不明の症状が出たため」としていますが、具体的にどのような症状が出たのかは明らかにしていません。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは先月から世界各国で最大6万人を対象に、最終段階となる第3段階の臨床試験を始めていて、「大規模な臨床試験で重大な有害事象が起きることは珍しいことではない。注意深く医学的な情報を検証して再開の判断を行う」としています。

今後、独立した委員会がデータをもとにワクチンとの関連を検証し、再開の判断を行うとしています。

日本国内の臨床試験も一時的に中断

ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門として、新型コロナウイルスのワクチンを開発しているヤンセンファーマの日本法人によりますと、日本国内でも先月から臨床試験が行われています。

20歳から55歳までと、65歳以上の高齢者合わせて250人を対象に3段階のうち第1段階にあたる試験を行っていましたが、13日から一時的に中断しているということです。

ヤンセンファーマの日本法人は「現在、情報を収集中で詳細についてはコメントできない」としています。

専門家「一喜一憂するべきではない」

ワクチン開発に詳しい東京大学医科学研究所の石井健教授は「ワクチンの臨床試験が一時的に中断することは珍しいことではない。中断したことをもって、『ワクチンは危ない』といった過剰な反応が広がることも、避けなければならない。臨床試験の一局面がニュースになること自体が異常な事態で、臨床試験の進み具合に一喜一憂するべきではない」と指摘しています。

さらに「ワクチンが開発されても、一般の人たちに行き渡るまでには時間がかかると思われるし、接種によって全く安心とか、元どおりの生活に戻ることができるといったわけでもないことは、多くの人が認識していると思う。冷静になって詳細な情報を見極めるべきだ」と話しています。

加藤官房長官「企業に報告求め対応を検討」

加藤官房長官は午後の記者会見で「企業に対して詳細な報告を求めており、今後、得られる情報に基づき、対応を検討する。いずれにしても、ワクチンについては、来年の前半までに国民が接種できる量を確保するとともに、安全性・有効性をしっかり確保していくことが求められていると思う」と述べました。