政治

菅首相 ASEAN諸国に医療支援 RCEPあす合意へ

菅総理大臣は、ASEAN=東南アジア諸国連合と日中韓3か国によるオンラインでの首脳会議で、新型コロナウイルス対策に連携して取り組む考えを強調しました。一方、RCEP=東アジア地域包括的経済連携は、15日協定の署名式が行われ、インドを除く15か国で合意することになりました。
菅総理大臣は14日午後、オンライン形式で行われたASEAN=東南アジア諸国連合と日中韓3か国による首脳会議に出席しました。

会議には、中国の李克強首相や韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領も出席し、菅総理大臣にとっては、中国や韓国の首脳が出席する初めての国際会議となりました。

この中で菅総理大臣は、新型コロナウイルス対策としてASEAN諸国に2億ドル以上の医療支援を進めるなど、すべての人に質のよい保健・医療サービスを提供するため、連携して取り組む考えを強調しました。

また2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指す方針を説明し、「地球温暖化への対応は一刻の猶予も許されない。日本は、イノベーションによる経済と環境の好循環を目指し、アジアの事情に即した、現実的で持続可能な脱炭素化とエネルギー転換の取り組みを全面支援していく」と述べました。

菅総理大臣は14日夜、ASEAN各国に加え、アメリカや中国、ロシアなども参加する東アジアサミットに臨むことにしています。

RCEP インドを除く15か国で合意へ

RCEP=東アジア地域包括的経済連携について、菅総理大臣は15日の首脳会議の際に協定に署名する考えを明らかにし、RCEPは、インドを除く15か国で合意することになりました。

日本や中国、ASEAN各国など、アジア太平洋の16か国が参加するRCEPは、15日の首脳会議を前に、離脱を示唆するインドを除く各国での協定内容の調整がおおむね終わっています。

これについて菅総理大臣は14日午後、総理大臣官邸で、記者団に対し、「あすの首脳会議の際に、日本はRCEP協定に署名をする」と述べ、RCEPは、インドを除く15か国で合意することになりました。

そのうえで、15日の首脳会議について「インドの将来の参加も含めて、自由で公正な経済圏を広げるという日本の立場を、しっかり発信をして、関係国の協力を得たい」と述べました。

RCEPをめぐっては、これまでの交渉で、日本に輸入されるコメや牛肉・豚肉、乳製品など重要5項目については、関税の削減や撤廃の対象から外れる一方、中国から輸入される冷凍の加工野菜などの関税は段階的に撤廃される見込みです。

一方、日本からの輸出では、▽輸出量が多い中国向けのほたて貝や、▽中国や韓国向けの日本酒や焼酎などの関税も段階的に撤廃される方向です。

このほか、工業品の分野でも、関税の撤廃や削減が進む見通しで、貿易の促進や投資の拡大につながると期待されています。

菅首相「平和で繁栄したインド太平洋を作り上げたい」

菅総理大臣は14日夕方、総理大臣官邸で記者団に対し、ASEAN=東南アジア諸国連合関連の一連の首脳会議について、「ASEANと日本で、平和で繁栄したインド太平洋をともに作り上げていきたいという思いを、直接、各国の首脳に伝え、そのために必要な具体的な協力を進めていくことで一致した」と述べ、成果を強調しました。

また、菅総理大臣は、「北朝鮮や南シナ海など地域情勢について、日本の立場を力強く発信した。拉致問題については、複数の首脳から、『この問題について協力していきたい』と、力強い支援を得ることができた。このあとの東アジアサミットでも、引き続き日本の立場をしっかりと主張していきたい」と述べました。

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