BF-疾風のゲイル(遊戯王OCG)

登録日:2009/10/11(日) 21:59:11
更新日:2024/03/31 Sun 23:10:55
所要時間:約 3 分で読めます





遊戯王OCGには、環境に影響を与えてきたカードがある。

緩い召喚条件と凶悪な効果で環境を席巻したカオス
下級モンスターの攻撃力インフレを起こした《怒れる類人猿》、
さらにその上を行く攻撃力・汎用性で人気を博した《サイバー・ドラゴン》、
環境を劇的に加速させたシンクロモンスター
墓地から簡単に蘇るチューナーの《ゾンビキャリア》《グローアップ・バルブ》……。


そして、これらのカードと並んで恐れられたモンスターがいた。

カードテキスト

チューナー・効果モンスター
星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400
(1):自分フィールドに「BF-疾風のゲイル」以外の「BF」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターの攻撃力・守備力を半分にする。

●目次

解説

5D'sクロウが使用するBFの1体。
下級モンスターのチューナーで、2つの効果を備えている。

  • 自分フィールド上にゲイル以外の「BF」と名のついたモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる。
  • 1ターンに1度、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択した相手モンスターの攻撃力・守備力を半分にする。

1つ目の効果は【BF】で役立つ効果で、BFが得意とする手札からの手軽な展開が可能である。
そのまま殴ってもいいし、チューナーなのでシンクロ召喚に繋げてもいい。

ダーク・ダイブ・ボンバー》(エラッタ前)が現役の頃は《BF-蒼炎のシュラ》でリクルートしてワンパン入れた後、
メイン2にレベル7シンクロして射出というフィニッシュ手段があった。

そして、2つ目の効果にも注目してほしい。
相手モンスターの攻撃力を半分にする。
つまり、このカードはサポートなしで攻撃力2600以下のモンスターを戦闘破壊できるという事である。

その対応範囲はかなり広く、第6期第7期の環境では《スターダスト・ドラゴン》や《真六武衆-シエン》は一方的にやられる。《大地の騎士ガイアナイト》や《ジェムナイト・パール》すらも相討ちに持ち込んでしまう。
さらに《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》などのロックにかからず、各種リクルーターにも対応するという絶妙なステータス。

その本領が発揮されるのはやはり【旋風BF】であり、
《BF-蒼炎のシュラ》《BF-黒槍のブラスト》《BF-精鋭のゼピュロス》を召喚すれば《黒い旋風》でサーチできるため、戦闘補助+打点追加+シンクロ素材という八面六臂の活躍が見込める。

《収縮》のような効果を内蔵したチューナーという汎用性から、【BF】以外のデッキにとりあえず入れておくというのもかつてはよくある光景であった。

ちなみにかの《モリンフェン》様ビートにおいては、上級モンスターにしてはやや攻撃力の足りないモリンフェン様のサポートに使える上、その後星8のシンクロに繋ぐ事もできるので相性抜群である。

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン》にシンクロし、ゲイルの効果をコピーしてさらに1/2、そしてモリンフェン様を蘇生させて満足するしかねぇ!!


裁定の難しさ

・・・だがこのカードを使う上で最も厄介なのは凶悪な性能ではなく、
半減効果のルールのややこしさである。ステータスを半分にするだけのシンプルな効果のなにが?と思うがこれが想像以上のクセモノ

効果はいつまで続きますか?
対象がフィールドを離れるまでです。

重ね掛けで攻守1/4にできますか?
可能です。

攻守が変動するモンスター(例:フォーチュンレディ)に対して発動した場合、数値はどうなりますか?
半減された数値で固定され、以降変動しません。

そもそも遊戯王OCGにおける攻撃力/守備力を半分にする効果はシンプルなテキストに反して非常に処理が面倒くさい。

《ブラック・ガーデン》+《邪神ドレッド・ルート》とかは有名だが(詳しくはこちら)、これもまた例に漏れずテキストからは読み取れない処理がめっちゃ多い。

ただでさえ普通のターン終了時までの攻撃力半減カードですらわりとややこしいのに、こいつは半分に永続固定するのである。
そのため単純な攻撃力/守備力増減効果と攻守変更効果で処理がまるで変わってくるのである。

有志が作った「しっかりとした効果テキスト」



物凄く長い。

チューナー・効果モンスター
星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400
(1):自分フィールドに「BF-疾風のゲイル」以外の「BF」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターの攻撃力・守備力を半分にする。
なお実際の効果テキストは僅かこれだけである。
そんな細かいルール解るか。

現在でこそ類似処理カードが登場し、この手の効果の処理方法がルールブックに明記されているが、
当時は明文化なんかされていなかっため《BF-疾風のゲイル》だけの特殊裁定だと思われていたこともある。

こいつの攻守半減のややこしさがネタにされてきたのは、【BF】が流行して環境で見かけることが多かったにもかかわらず類似効果が少なかったという点が大きい。現在では公式のルールブックにも処理の仕方が載っており、以前ほどデュエル中にもめることは少ないだろう。

上記の「しっかりとした効果テキスト」も、ルールやテキストの整備が進んだ第9期以降の現在から見れば冗長であり、かえって理解を妨げる原因にもなりうる。

【攻守半減の詳細】

遊戯王OCGにはモンスターの攻撃力/守備力を変化させる効果が数多く存在する。

こいつのような攻守を半分にする効果は単なる「アップ・ダウン」とは異なり、「決められた数値に変化させる」という類のものである。

そのような「攻守の指定」を伴う効果にはステータスを上書きしてしまう性質がある。これは基本的なルールではあるものの、例によってテキストで明示されている訳ではないため、そこが分かりにくさを生む要因となっているのである。

ややこしいのは確かだが、こいつのような「発動した効果による攻撃力/守備力を半分」というのは、
今現在の値の半分の数値になり、以後その値で固定される」というのが原則である。


以下に例を挙げる。

例えば《デーモンの斧》を装備した《ブラッド・ヴォルス》に《BF-疾風のゲイル》の効果を使うと、
攻撃力は(1900+1000)÷2=1450となる。

その状態で《デーモンの斧》が破壊されても、ステータスは固定化されているので攻撃力は1450のままとなる。

もし、新たに別の《デーモンの斧》を装備すると、1450+1000=2450となる。

また、手札の枚数に応じて攻撃力が変動する《トラゴエディア》の攻撃力を半減した場合、
半分にした値で固定されるので、自身の永続効果や現在適用中の装備魔法などの影響を受けなくなる。
手札の枚数がいくら変化しようとも、表側表示存在する限り半減した数値のままとなる。

一方、《BF-疾風のゲイル》で攻守を半減したモンスターに《コアラッコ》の効果を使って攻撃力を0にすると、《コアラッコ》の効果が切れた時にモンスターの攻守は元々の数値に戻る。これは《コアラッコ》の「攻撃力を0にする」という効果も《BF-疾風のゲイル》と同じ「決められた数値に変化させる」性質を持つためであり、その効果で《BF-疾風のゲイル》の効果が上書きされるためである。

E・HERO Great TORNADO》や《M・HERO ブラスト》などの処理も同様。


《リミッター解除》などで攻守を倍にする場合も考え方は同じであり、2倍にした値で固定され、それまで適用されていた効果の影響は受けなくなる。


類例として《D-HERO ディストピアガイ》は「攻撃力が変化している時、元々の攻撃力に戻る」という効果だが、
半分の処理と同じように元々の攻撃力で固定され、適用中のフィールド魔法や装備魔法などの効果を受けなくなる。


なお「元々の攻撃力」を参照する《収縮》や《巨大化》についてはまた違った処理になる。
例として攻撃力1900の《ブラッド・ヴォルス》をリリースしてアドバンス召喚された《偉大魔獣 ガーゼット》(攻撃力3800)に《BF-疾風のゲイル》の効果を使うと、3800÷2=1900となる。

しかし、同じ状態の《偉大魔獣ガーゼット》を対象に《収縮》を発動すると、元々の攻撃力を半分にするので0を半分にして攻撃力は0となる。


同じく処理のややこしさで有名な《邪神ドレッド・ルート》については、特殊裁定に基づき《BF-疾風のゲイル》で半減した後で最後に《邪神ドレッド・ルート》で半減させる。

長くなるので詳しくはそちらの項目を参照されたし。


まとめると「攻守のアップ・ダウン」と「攻守の固定化」の違いさえ分かれば理解することはそう難しくないということである。


ゲーム環境での活躍

その余りあるパワーと汎用性ゆえ、BF兼汎用チューナー規制の一環として制限カードとなった。
BFでは数少ないレベル3のチューナーなので、攻撃にも守備にも使える優秀な効果を持った《BF-アーマード・ウィング》のシンクロがし辛くなった。
とはいえ、その《BF-アーマード・ウィング》も戦闘破壊されずダメージも受けないとかいう当時にしてはかなり強力な効果なので、ある意味バランスが取れているとも言える。

が、そんな《BF-疾風のゲイル》でも勝てない強力なチューナーが更に増えたり、BF自体も結構落ち目になって来た影響か、
14年10月から準制限に緩和、そして15年10月には無制限カードへと舞い戻った。

BF-月影のカルート》《ゴッドバードアタック》《黒い旋風》などが帰って来てもなかなか戻って来れなかったあたりが、
このカードの強さと処理の面倒臭さを表してると言えるかも知れない。

アニメ5D'sのクラッシュタウン編では、クロウ遠距離から投げつけ、敵の銃を弾き飛ばした後、地面に突き刺さった(金属製の疑いあり)。
制限化で余ったからって投げないで下さい



クロウ『追記、修正だと?インチキ項目もいい加減にしろ!』
鬼柳『お前が言うな』
ジャック『お前が言うな』

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最終更新:2024年03月31日 23:10