神戸製鋼所は26日、子会社で生産する鋳物の検査データ改ざんなど新たに4件の不正が見つかったと発表した。子会社の製品が日本工業規格(JIS)の認証を取り消されたことも公表。これまで不正が判明していた製品の出荷先525社のうち、約8割にあたる437社で安全確認が進んだことも明らかにしたが、安全性の検証は道半ばだ。

 新たな不正のうち3件は、子会社の神鋼造機(岐阜県大垣市)がつくる「鋳物」「減速機」と、子会社のコベルコ科研(神戸市)が試作した「合金」。データ改ざんや捏造(ねつぞう)がおこなわれた。

 もう一つは、神鋼の機械事業部門による金属部材の表面加工処理で、加工品の測定データを改ざんした。出荷先は計約10社。安全性はこれから確認する。さらにこれらとは別に、海外工場が出荷する建材向け鉄鋼製品で不正の疑いが浮上している。

JIS認証取り消しとなったのは、子会社コベルコマテリアル銅管の秦野工場(神奈川県秦野市)がつくる銅管。JIS認証を受けた国内外の工場のうち、秦野工場を除く19工場でも認証機関による調査が始まる。川崎博也会長兼社長は「(新たな取り消しは)100%ないとは言い切れない」という。神鋼は昨年、グループ会社の製品でJIS認証を取り消されたばかり。同じグループで2年連続取り消しは初めてだ。品質軽視の姿勢が改めて浮き彫りになった。

 一方、神鋼は、不正製品の出荷先の約8割で、一定の安全性を確認したと発表。製品回収が必要なケースはないという。だが、製品には出荷先から転売されたものも多い。追跡して確認を急ぐが、完了時期は見通せていない。さらに、確認対象は昨年9月から今年8月に出荷されたものにすぎない。それより前の不正調査は未定だ。

 神鋼は26日付で、松井巌(がん)・元福岡高検検事長ら弁護士3人でつくる外部調査委員会を設置した。年内をめどに原因を究明して再発防止策をまとめる。(辻森尚仁、野口陽)