南極観測船「しらせ」(基準排水量1万2650トン、宮崎好司艦長)が12日午前10時45分ごろ、南極へ向けて東京・晴海埠頭(ふとう)を出港した。月末に成田空港から出発する59次観測隊を豪州で乗せ、来月下旬の昭和基地到着を目指す。今季は基地周辺の海氷が薄めで、接岸しやすい状況だという。

 「がんばれよ!」「元気でね」。手や旗を振って家族や観測隊員たちが見送る中、しらせは汽笛を鳴らし、ゆっくりと岸壁を離れていった。今年は1957年に昭和基地が開設されて60年。南極観測史を振り返るイベントが各地で開かれ、関心を高めた。59次観測隊の土井浩一郎隊長は「気持ちいい青空が広がって、節目の年に幸先がいい門出。南極でしっかり成果をあげてきたい」と話した。

 59次観測隊は、公開で募った研究者らも同行し、総勢99人と過去最多。10月28日に出発した先遣隊の18人は、南アフリカから国際共同チャーター便ですでに南極入りしている。

 しらせ乗組員は約180人で、女性11人はこれまでで最も多い。しらせは来年2月半ばに昭和基地を離れ、4月11日に帰国する。

 今年8月に南極観測仕様のヘリコプターが海上自衛隊岩国航空基地(山口県岩国市)で横転して壊れた。しらせには残りの2機を搭載できたため、59次隊の観測活動への影響はないという。(中山由美