MBC取材陣が尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長(日本の検事総長に相当)の妻キム・ゴンヒさんの論文不正疑惑取材で、キムさんの指導教授の以前の居住地へ行き、警察であると詐称して関連内容を質問していたことが確認された。法曹関係者の間では、刑事罰を受ける可能性がある行為だとの意見もある。

 9日の本紙の取材を総合すると、7日午後、京畿道坡州市内に居住するAさんに「坡州警察署の警察官」だとして、知らない携帯電話の番号から1本の電話がかかってきたという。電話をかけてきた人物は男性の声で、名乗らずに「チョン○○という人は(そこに)住んでいるか」と尋ねた。Aさんは「元の所有者だ。今は住んでいない」と答えた。キム・ゴンヒさんの論文指導教授であるチョン○○教授は昨年までこの住宅で暮らしていたが、引っ越した。

 すると、電話をかけてきた人物は「どこに引っ越して行ったのか」「家の契約はいつしたのか」「どの不動産店でしたのか」などと次々と尋ねてきたが、Aさんはすべて「よく分からない」と答えて電話を切ったという。怪しいと思ったAさんは、発信者の電話番号を娘に伝えた。Aさんの娘がこれを検索したところ、発信者は警察ではなく、MBC所属の取材陣であることを確認したという。Aさんは「後で家の前の防犯カメラを確認したところ、ある男性が家を一回りしていく姿が写っていた」「家の前に止めてあった車に(所有者の連絡先として)書いておいた電話番号を見て連絡したようだ」と話した。

 本紙が発信者とされるMBC取材陣に電話をかけ、関連内容を尋ねると、MBC側は「取材内容自体をよく知らない」と主張した。その後、反論のため再度連絡すると、携帯電話を切った。これについて、MBC側は「そのような話が出ていることを認知し、報道運営本部に事実関係確認を要請したが、まだ回答が来ておらず、見解や措置も決まっていない」と述べた。

 法曹関係者の間では、MBC取材陣の行為について、公務員詐称や強要未遂などの疑いで刑事処罰を受ける可能性のある事案だと見ている。尹錫悦氏側は同日、「キム・ゴンヒ夫人関連取材の過程で、特定のメディアから警察官を詐称する犯罪行動があったとの情報提供があった」「記者が警察官を詐称すれば、これは『取材倫理違反』を通り越して『公務員資格詐称罪』または『強要罪』に該当する可能性のある犯罪なので、事実関係が確認され次第、法的措置を準備する予定だ」と明らかにした。

 これが騒動に広がると、MBCは9日夕のニュースで、「本社取材陣がキム・ゴンヒさんの博士論文を検証するための取材過程で取材倫理に違反していたことを確認した」「指導教授の以前の住所地の前に止まっていた乗用車の所有者と通話する過程で、自分自身を警察官だと名乗っていたことが確認された」「記者の身分を明らかにしなかった取材陣2人を関連業務から排除し、社規に基づいて責任を問うことにした」「被害を受けた乗用車の所有者と視聴者の皆様に深くおわびの言葉を申し上げる」と述べた。

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