[2017年版iPadレビュー]きっと最良の選択。90%の人を幸せにするiPad誕生

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  • author 小暮ひさのり
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[2017年版iPadレビュー]きっと最良の選択。90%の人を幸せにするiPad誕生

自分はiPadにどこまでを求めるのか?

それをもう一度考えると、これだ!という答えになる方も多いことでしょう。僕、買っちゃいました新しいiPad。iPad (5th generation)となる、先日発表されたiPadの新作です。まぁ、新作と言っても最強スペックというわけではないのですけどね。

でも、最高じゃなくても最良の選択をしたと、僕は今感じているのです。

新しいiPadのスペックやデザインはどうなのか?

まず、これいいじゃんと思ったのはスペック面。いや、快適さというべきでしょうか。この子が来るまで、僕のメインタブレットはiPad Airでした。2013年11月に発売されたもので、世代で言うと2世代くらい前のモデルです。それと比べると新しいiPadはすべての操作が快適です

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Safariでタブを開く、文字を入力する、画面を切り替える。など、あらゆるアクションがキビキビと走ります。iPad Airで感じていた1テンポの遅れがまったくないのです。2世代前のAirでもそこまでの違いを感じることができたので、これがちょっと前まで現役だったiPad 2や、初めてのRetina搭載機であるiPad 3(第3世代)からの乗り換えだとしたら、さらにビックリするかもしれません。

どのくらい違うんだろう?と、GeekBench 4でテストしてみたところ、以下のような結果に。

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これまで利用していたiPad Airと比べて2倍近いスペック差を出しています。メモリも2GBですし、快適になるはずですね。なお、新しいiPadのSoC(CPU=頭脳)は「Apple A9」で、iPhone SEやiPhone 6S世代と同じものです。

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シングルコア、マルチコアのそれぞれのスコアを歴代の機器と比較したのがこちら。さすがに9.7インチiPad Proには敵いませんけど、なかなかに検討した数値だと思いません? また、よく見ればベンチマーク上ではiPad Air2を超えているんです! ビックリ!

このあまりの快適さに、「これは本当にラップトップの代わりになるのではないだろうか?」と思い立って、ワクワクしながらAmazonでキーボードケースを探し始めてしまったくらいです。ただ、一般的なキーボードケースはUS配列なので僕はダメだ!と諦めたんですけどね。ちなみに小技として、iPadでもMagic KeybordやApple Wireless KeybordならJIS配列で利用できるので、JIS派の人は覚えておくとちょっぴり幸せになれます。

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ペンでPDFに注釈を入れる、校正をするといった作業も楽になりました。こういった作業では「MetaMoJi Note」アプリ、タッチペンは単4電池をセットするペン先が細いタイプを愛用しています。従来利用していたiPad Airから比べると画面の読み込みや拡大縮小で待たされる時間も大幅に短縮されています。ピクチャ・イン・ピクチャでAmazonプライムビデオを流しつつでも楽勝。

「すげえ! 画面に手を置いてもペン先にしか反応しないぜ!」というiPad ProとApple Pencilによる完璧なパームリジェクションや高精度の筆圧感知は再現できませんが、PDFに注釈を入れるくらいであれば、十二分に満足できる仕上がりです。

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本体のサイズはiPad Air 2と比べると、厚みは6.1mm → 7.5mmと増加。本体重量(Wi-Fiモデル)も437g → 469gと増加しています。これは2世代前のiPad Air(2じゃないほう)と同じです。こちらの写真はそのiPad Airと並べたところですが、正面から見るとほぼ違いはわかりませんね。

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液晶パネルもまたiPad Air世代のものです。タブレットではiPad Air 2以降に採用されている、映り込みの少ない「フルラミネーションディスプレイ」ではありません。屋外や窓際での利用では光の映り込みが気になる人がいるかもしれませんね。僕の場合は主に室内での利用ですし、まっすぐ画面を見ている分には気にはなりませんでした。

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iPad Air 2、iPad Proの「フルラミネーションディスプレイ」は液晶・タッチパネル・カバーガラスが一体化されているため、直接画面を触っているようなフィーリングを得られます。一方こちらはというと、ご覧のように液晶パネルにはやや厚みがあります。ベゼルが白だと、カバーガラスと液晶の間の厚みが気になる人もいるかも?

実際僕も、白ちょっと失敗し(ゴニョゴニョ)…。今回初めてフロントベゼルが白のiPadを購入したのですが、動画や写真を見るシーンではやはり黒のほうが締まって見えるため、慣れ親しんだ黒にすべきだったかなぁ〜って。

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外装のデザインはiPad Airとほぼ一緒ですが、コーナーの磨き処理がやや異なり、新しいiPadには光沢が無くラグジュアリー感が低下しています。このあたりはフラッグシップとの違いですね。

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よ〜く見るとスピーカーのデザインも若干異なっています。このようにじぃっと間違い探しをするといくつか違いが見つかります。ひょっとしたらサードパーティ製のケースなどは適合しないかもしれないので、購入時にはよく対応と評価を確認したほうが良さそう。

さて、スペック面をざっとまとめるとこの新しいiPadは、性能はiPad Air2を超えてるけど、サイズや重さや見た目はiPad Air

という子です。ただ、iSightカメラはiPad Air 2と同じ8MP(f2.4)。ホームボタンもTouch IDで、Apple Payにも対応しています。そしてストレージも32GBから128GBになって現代風です。

新しいiPadとは何なのか。誰に向けたのか

ここ数年のAppleは、教育ジャンルへも力を注いでいます。iPadをはじめ、Apple製品を使った学習シーンを想造しているのです。ただ、教育現場に大量に導入させるにはiPadシリーズはやや高い。そのため、普及価格帯のタブレットを…! といった戦略的背景があるのかもしれません。

でもこれはそういうジャンルだけでなく、僕たちコンシューマに向けても十二分に魅了的なタブレットです。

スペック? そりゃiPad Proのほうがいいですし、iPad Air 2のほうが優れている箇所も多々あります。この新しいiPadは、iPhone 5c以来の完全な廉価版なんですよね。ただ、iPhone 5cがカラーで違いを演出して、こういうのもまたカワイイでしょ?って言ってたのに対し、こちらはこの製品だけの工夫はなく、リアルに妥当なところを狙った製品だというのには、若干の寂しさもあります。

「Appleもつまんない商売やっちゃってよぉ〜。オレの愛したAppleはよぉ…」。と、居酒屋でクダを巻きたくなる気持ちもわかります。じゃあなんで良いのか?

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「37,800円から!」

すごくないですか? iPadの歴史の中で最安で、しかも32GBからですよ。まるで1ドル90円時代のような価格設定です。この値段なら教育市場への普及に加えて、なかなか世代交代できずにいる一般ユーザー層の買い替え心もくすぐってくれます

スペックのところでも触れましたが、iPadはiOSの進化と共にストレスを感じるシーンが増えつつも、壊れないから続投を余儀なくされているiPad 2、iPad 3(第3世代)が世の中にたくさんあります。実際我が家でも、画面はRetinaで綺麗だけどモッサリ過ぎて息切れ感が高いiPad 3君がまだ健在。そして普段使いには困らないけど、文字入力やPDF編集をするとやっぱりモッサリなiPad Air(初代)さんが頑張っていたのです。

いい加減なんとかしたいなと思っていたときに現れたのが、新しいiPadです。彼は見事に世代交代を果たし、僕がiPadでやりたい作業はすべて快適になりました。おそらく「iPadが欲しいな」と思っている人の90%は、この新しいiPadで満足できるはずです

では残り10%は? そう、これで満足できないのであれば、iPad Proシリーズという選択肢があります。

しかし、主にグラフィック的な用途をメインとしないのであればProである必要はきっとありません。多くの人が手にすべきはこの新しいiPadじゃないのかなって思ってるんです。今回のラインナップ刷新により、プロ向けのiPad Proと、一般コンシューマ向けのiPadにわかりやすく二極化されました。たしかに性能が良いに越したことはないのですが、世の中にそんなにはプロはいないわけで、程々という選択肢があるべきなんです。

最高ではなく、9.7インチの中で最良の選択肢

それが新しいiPadです。iPad Air 2やiPad Proを持っている人はわざわざ買い換える必要はありませんが、それより前のモデルを利用している人は、買い換えることで幸せになれます。今、僕はかなり幸せです。もちろん、初めてのタブレットとしても非常に快適な一台ですよ。

「iPad欲しいなー」「iPad買い替えたいなー」と思っている人には本当におすすめなので、まずは触ってみましょう。AppleStoreだけでなく、家電量販店やキャリアの販売店などでも触ることができるようになっていくはずです。

でも、個人的にはやっぱり黒にすれば…よかったなぁって。このままだと思わず2台目を買いそうな勢いです。誰かに止めてもらいたい。白もいいじゃんって言ってほしい。

image: 小暮ひさのり, Apple
source: Apple(iPad) ,GeekBench 4

(小暮ひさのり)