Inc.com:決して弱音をはかない人々に共通していることがあります。たとえば、インスタントラーメンを発明した人から学べることは何でしょうか? Y-Combinator社が支援するシリアルアントレプレナーのNathan Kontny氏は、たった数分でおいしい食事をカップで作る方法以上に多くのことを学ぶことができると言います。

最近、Kontny氏がQuartzで紹介した人物が、カップヌードルやチキンラーメンの生みの親で日本人実業家の安藤百福氏です。彼は、それらの偉大な開発を手がける前に、2つの会社を築き、失っています。また、一方で、投獄や拷問の苦しみを味わった彼の波乱万丈で感動的な物語は、忍耐強さのお手本といえます。そして、Kontny氏は、こうした信じられないほど大きな逆境にも関わらず、彼が歩み続けることができた理由を調べています。

勝ち目がないのに諦めない理由

Kontny氏は、安藤氏のような逆境を経てきた人について、特定の性格特性によるものなのか、または状況に共通点があるのかと考えました。しかし、並外れてバイタリティ溢れる人々が前進し続ける理由はわからないといいます。見方を変えて考えてみましょう。なぜ人は諦めるのでしょうか?

Kontny氏は、シラキュース大学教授のVincent Tinto氏と、著名な社会学者のEmile Durkheim氏の研究にその答えを見つけました。この2人の人物が活躍した時代には1世紀近くの隔たりがあり、彼らの取り組んだ問題も大きく異なっています。Tinto教授は、ある学生は大学に残り、ある学生は落第してしまう理由について研究しました。一方、Durkheim氏の研究テーマは自殺についてでした。しかしながら、両者は似たような結論を出しました。逆境に立ち向かう忍耐力には、精神的な強さが必要なのではなく、ほかの人間が必要なのです。つまり、彼らのサポートがなければ、人は途中で諦める可能性が高いのです。

「独りでなければ、人間は耐えられる」──。Kontny氏は、調査結果をまとめてこのように書いています。

困難に直面したとき、活力を得る方法は、実にシンプルです。まずは、あなたの社会的なつながりは、空中ブランコの転落防止ネットのようなものと考えてください。しっかりとした社会的なつながりを広げていくことで、失敗しても周囲からのサポートが待っているでしょう。だからこそ、日頃から人と関わる努力をしないと、悲劇的な結末を迎える可能性もあるのです。

無理に人脈づくりをする必要はありません

「社会的な人脈によって、人はバイタリティを得る」──。Konty氏が言いたいことは、まさにこの点なのです。それならば、退屈な地元のネットワーキングイベントに参加でもするか、などと投げやりにならないでください。必要な時に、助けを求めなければならないということを知ってほしいのです。

「長年培ってきた友人たちとの人脈によって、私はたくさん助けられてきました」と、Kontny氏は言います。「そしてわかったことは、愛想笑いを浮かべて、おしゃべりにいそしんだり、居心地の悪いネットワーキングイベントに慣れたりする必要はないということです。実際、私は知り合いの中でも特に内向的な性格です。カンファレンスなどでは、一番早く退席できるように後ろの列に座ります。パーティーがあったとしても、おそらく私は出席しないでしょう」

メールを交わしたり、時折会って近況を報告しあったり、人との対話をすることで、活力は驚くほどアップするでしょう。ただ、待っているだけでなく、自分から連絡を取ろうと行動を起こさなければなりません。「つながりのあるすべての人に対して、正直になることを恐れないでください。そして、素直に助けを求めてください」と、Kontny氏は言います。「たいていの人間、特に会社の経営者は、孤独に苦しんでいるのが実情です。友人や手を差し伸べてくれる人々に対して、つらい状況を隠してしまいがちです。意を決して心を開いたのに、案の定、期待を裏切られることが怖いからです。どんなときも自信を持って行動し、成功するまで自信があるふりを続けるということは、非常にナンセンスなのです」

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JESSICA STILLMAN(訳/コニャック)

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