MAG2 NEWS MENU

【書評】ジョジョの奇妙なポーズがあなたの発言の説得力を高める

独特のポージングが印象的な少年漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ。1986年の連載開始以来、変わらぬ大人気を保ち続けるこの作品の作者・荒木飛呂彦さんが自らの漫画術を公開した1冊が、無料メルマガ『ビジネス発想源』で取り上げられています。

ポーズが印象に残る

最近読んだ本の内容からの話。

荒木飛呂彦氏は、20年以上にもわたって『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズを描き続けている、人気漫画家である。

しかし、1980年に「週刊少年ジャンプ」にて『武装ポーカー』でデビューしてからしばらくの間、ヒット作に恵まれなかった。デビュー時の画力は独学で下手だったので、漫画家のアシスタントをやりたかったが、仙台に住んでいたので東京まで通うわけにもいかず、デッサンなど絵の基礎をコツコツと勉強しながら様々な試行錯誤を繰り返していた。

『ジョジョの奇妙な冒険』の連載が始まる前、荒木氏はなんとなくイタリア旅行をした。そしてたまたま、ローマのボルゲーゼ美術館でベルリーニの彫刻「アポロとダフネ」を見た時、「ああ、これを漫画で描けたらいいなあ!」と思った。写真では見たことがあったが、実際に裏から見たり下から見たりと、色々な角度から実物をじっくり見ていくことで、その迫力や美しさに圧倒されたのである。

この彫刻のようなねじれたポージングは日本の美術にはほとんどないし、これまでの漫画家があまり表現していないジャンルで、いい意味での色気も出せる。

ねじれたポージングは、その後に連載され大ヒット作となった『ジョジョの奇妙な冒険』で大いに生かされ、荒木作品の持ち味となった。これによって「これが自分の絵だ」というものをつかんでからは、編集者からアドバイスされて悩むということが格段に減った。

ポージングというものは、人に記憶される。マイケル・ジャクソンのポーズなどは、永遠に記憶に残る素晴らしいものである。そのポーズを見れば、その人物がどういう感情を抱いているのかすら分かるから、絵においては非常に重要な要素だと言える。

荒木氏は彫刻を参考にすることが多いが、美術館で見て、家に帰ってからもどんなポーズだったかを克明に思い出せるような彫刻は実際、傑作である。生命力、ロマンティックな雰囲気、重量感や肌の質感など、強く印象に残る理由を追求していくと、その彫刻の何を絵にすればいいのかが見えてくる。

ただ、実際にポージングを描く時には、人体骨格の構造と動きを正しく把握する、ということが大事である。ただねじっていればいいわけではなく、腰を出す時に足がどうなるのか、膝がどの位置に来て、肩がどんな動きをするか、全てが繋がって流れがあるので、そこを理解しなければポージングは描けない。

『ジョジョの奇妙な冒険』では人体骨格の限界まで追求したポージングをしている。顔だけだとポージングができないので、イラスト付きのサインを描く時にも、荒木飛呂彦氏は必ずバストショットにし、肩をぐっと入れるなど何かしらポーズをつけている。それが自分の絵の特徴となるからだ、と荒木飛呂彦氏は述べている。

出典は、最近読んだこの本です。人気作品『ジョジョ』の作者・荒木先生の漫画論。ヒット商品を作るために参考になる部分が多いです。

荒木飛呂彦の漫画術
(荒木飛呂彦 著/集英社)

ポーズは、印象に残ります。その時の状況やその人の要素、さらにはその人の心情や性格などの内面までポーズひとつに表れるものです。

例えば、誰が始めたのか知りませんが、ラーメン店の人たちが写っている写真は、なぜか腕を組んでいます。客商売で腕組みはどうかとも思いますが味に頑固な職人肌のような雰囲気が出ていて、あのポーズをしているだけで「ラーメン屋さんなんだな」と分かります。

また、WEB業界でインタビューをされる人は誰が始めたのかは知りませんが、やたら「ろくろを回す」ポーズを取っています。両手を突き出したような格好なのですが、このポーズだと、インタビュー中に何か手元で何かを表現しながら論理的に説明してるんだろうな、とイメージできます。

これらと同じように、ポーズというものは何かを表現し、また人の記憶に残ります。自分もここぞという時の仕草というものを自分なりに持っているといいかもしれません。

あるクリエイターの方は、「この話の重要なポイントは3つあります」という話をする時に、右手の指を3本上げ、左手の人差し指でその右手の3本を指す、というポーズを必ずやるそうです。その方が相手の記憶に残るからで、わざわざそのポーズを取るために、話の要素も必ず3つにまとめるんだとか。

朝礼の時でも、会議の時でも、大事なことを伝えるにはこういう仕草、というものを決めておくと、「あ、これは大事なところだ」と分かります。

その仕草を社員に真似されるぐらいに記憶に残りやすい仕草やポーズを考えてみるのも、いいのではないでしょうか。

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

image by: Shutterstock.com

 

弘中勝この著者の記事一覧

<まぐまぐ大賞2015・ビジネスキャリア部門第1位受賞/まぐまぐ大賞2014・総合大賞受賞> 連載5,000回を突破した、次世代を切り拓くビジネスパーソン向けの情報メディア。ご商売に活かせる発想源を毎日お届け。世に価値あるものを提供したい経営者・マーケティング担当者だけ、お読み下さい。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ビジネス発想源 』

【著者】 弘中勝 【発行周期】 日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け