＜因縁：浦和ｖｓＧ大阪（上）＞

　ルヴァン杯は明日１５日、埼玉スタジアムでナビスコ杯からの改称後初の決勝が行われる。対戦する浦和とＧ大阪は、ここ数年リーグ、天皇杯などでタイトルを懸けて何度も激突してきた。ライバル意識も強い２強には、試合を重ねるごとにいくつもの「因縁」が生まれてきた。好勝負必至の一戦を見届ける上で知っておきたい伏線を、上下２回にわたって連載する。

　「最後に崩れると思っていた」。そんな試合後のコメントに、浦和の選手たちは何度も歯がみしてきた。試合の主導権を握りながらも、堅守のＧ大阪を攻めあぐね、あせって前がかりになったところでカウンターを受け失点。相手の思惑通りの展開で、何度も大一番で苦杯をなめてきた。

　勝てば優勝が決まる状況で迎えた、１４年リーグ終盤のホーム戦が、その端緒だった。試合終了後、Ｇ大阪ＭＦ今野が、浦和のベンチに向かって笑いながらガッツポーズを示してきた。ＭＦ宇賀神は「絶対に許せないと思った」と吐露。クラブ関係者、サポーターの胸に、忘れがたい瞬間として刻まれた。

　１５年は新設されたリーグチャンピオンシップの準決勝で対戦。延長終了直前に、Ｇ大阪ＤＦ丹羽がＧＫの頭上を越え、あわやオウンゴールというミスパスをおかした。しかしこれがクロスバーに当たり、跳ね返りを拾われてカウンター攻撃を受け、決勝点を決められるという“ミラクル”が起きてしまった。

　「先制点を取っていれば」。「終盤にカウンターで失点しなければ」。今度こそＧ大阪に勝ってタイトルを取る。そのために浦和はチーム戦術を徹底してきた。攻守の速い切り替えからボール奪取を繰り返し、敵陣で波状攻撃を続ける「ミシャ・プレス」を磨いた。

　攻撃参加を好んでいたＤＦ槙野、森脇のストッパーは味方の攻撃の間も相手カウンター攻撃を警戒し、リスクを避けられる適切なポジショニングに心を砕いてきた。すべては大一番で、Ｇ大阪を倒すため。待ちに待った舞台がやってくる。【塩畑大輔】