「ヘディングは認知症を高確率で引き起こす」英国の大学研究チームが発表!

2017年02月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

元イングランド代表の死にもヘディングのしすぎが関係。

ハードなぶつかり合いはプレミアリーグの魅力でもあるが、一方で今回の研究のように引退後に後遺症を引き起こす原因にも……。 (C) Getty Images

 ロンドン大学とカーディフ大学の研究チームが、「サッカーにおけるヘディングが脳にダメージを与え、その後の人生において認知症などの後遺症を患う確率を高くしている」と発表した。『BBC』など複数の英国メディアが伝えている。
 
 英国メディアによれば、今回の研究は14人の元サッカー選手を対象に行なったもので、いずれも60代前半で認知症を発症していたことが分かったという。
 
 さらに被検者の検死を行なった化学チームは、14人のうち6人に記憶障害や認知症などの原因にもなる慢性外傷性脳症(CTE)の兆候があったことを発見したとも、BBCは報じている。
 
 この慢性外傷性脳症は別名「パンチドランカー」とも呼ばれ、主にボクサーなどに見られるもの。しかし、ロンドン大学のヒュー・モリス教授は、「いずれの選手たちもヘディングなど頭部への衝撃を人生の早い段階から何度も受けてきたことが、認知症などを引き起こしたことに影響している」とBBCに対してコメントした。
 
 また、今回の研究で2002年にCTEが原因で他界した元イングランド代表のジェフ・アストルの死は、1960年代に使われていた重たい革のボールをヘディングし過ぎたことが少なくない繋がりがあることも分かったという。
 
 これについて、英紙『デイリーメール』には、アストルの娘のドーン・アストルさんのコメントを掲載している。
 
「父にとってはあまりに遅すぎる発表だわ。この研究は現在のサッカー選手や未来のサッカー選手のために重要なこと。父が亡くなってから15年以上が経っているというのに、サッカー協会は何もしてくれなかった。それはあまりに不道徳なことよ」
 
 しかし、今回の研究で全てが明確になったわけではないという。モリス教授は「我々はサッカー選手がCTEを引き起こす全ての原因とリスクについて把握したわけではない」とし、「今後も研究を進めたい」と口にした。
 
 イングランド・サッカー協会(FA)の専門医であるシャーロット・コーウィー医師も、「私たちは脳震盪や頭部外傷に関する懸念を非常に真剣に受け止めている」とコメント。FAが脳震盪を発症した際のガイドラインを設けたこと発表した。
 
 また、プロサッカー選手協会も研究プロジェクトを進めるための資金を提供することを発表している。
 
 古くから無謀と言っても過言ではない身体のぶつけ合いが目立つイングランド・サッカー。その結果、多くの選手が引退後に脳機能に問題を抱えながら生きてきたことが分かったことで、プレースタイルの変化にも少なくない影響を及ぼすかもしれない。
 
 今後、こうした研究が進み、選手の健康管理のサポート体制の構築に役立つことを祈りたい。
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