Google スプレッドシートからマッピング
このチュートリアルでは、オンラインのスプレッドシートにデータを入力して、Google Earth 向けの目印データとして出力する方法を解説します。Google のウェブベースの共同編集機能により、チームメンバーと同時進行でデータを入力し、更新内容を即座に公開することができます。組織のプロジェクト、プログラムのサイト、パートナーなどの表示、オフィス、ボランティア人員、各種リソースのマッピング、ローカルからグローバルまで幅広いスケールでのデータの視覚化など、さまざまな用途に役立つツールです。
Spreadsheet Mapper バージョン 3 では、次のような新機能や強化点が盛り込まれています。
- 目印 1,000 件の作成に対応(必要に応じて追加可能)
- 6 種類のシンプルなバルーン デザイン テンプレート(必要に応じて追加可能)
- シンプルな公開手順
- 豊富なカスタマイズ機能
Spreadsheet Mapper 3 では、KML 目印データの生成やその他の便利なツールの提供に Google Apps Script を使用しています。
チュートリアルの内容
始める前に
Spreadsheet Mapper は、地図上の地点のマッピングに使用できる強力なツールです。スプレッドシートにはデフォルトで 1,000 件の目印を作成できる行数が用意されており、必要な場合は行の追加も可能です。行(地点)の数が数千件を超えると、Spreadsheet Mapper の動作速度が低下し、生成される KML ファイルもかなり大きなものとなります。
やってみましょう
入門者用スプレッドシートを開く
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まず、入門者用スプレッドシートのコピーを開きます。下のリンクをクリックして、Google ドキュメント アカウントにスプレッドシートのコピーを作成してください。Google アカウントへのログインが必要となることがあります。ドキュメントの新しいコピーを作成するかどうか尋ねるメッセージが表示されたら、[コピーを作成] をクリックします。
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アカウントでファイルが開いたら、新しいスプレッドシートの名前を適切な名前に変更します。タイトルをクリックするか、メニューバーで [ファイル] > [名前を変更] をクリックして、名前を入力してください。
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[Spreadsheet Mapper] メニューが上部([ヘルプ] メニューの横)に表示されていることを確認します。[Spreadsheet Mapper] メニューが見当たらない場合は、ウェブページを再読み込みしてください。スプレッドシートの再読み込み完了から数秒でメニューが表示されるはずです。
基本情報を入力してスプレッドシートを公開する
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[start here] シートの [Basic Information] セクションで、[Author's Information] と [About your KML Document] に情報を入力します。
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(省略可)[Advanced/Optional Settings] の左側のタブをクリックすると、非表示になっていた行が展開され、高度な設定を使用できるようになります。
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メニューバーで [ファイル] > [ウェブに公開] をクリックします。
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ダイアログ ボックスで [公開するコンテンツと設定] セクションを展開し、[変更が加えられたときに自動的に再公開する] チェックボックスをオフにします。
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[公開] ボタンをクリックしてから、[閉じる] をクリックしてダイアログを閉じます。
サンプルの目印とテンプレートを Google Earth に表示する
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ネットワーク リンク KML をコピーする
[Network Link KML] を 1 回だけクリックして選択します(ダブルクリックすると編集状態になってしまいます)。Ctrl + C を押すか、右クリックして [コピー] を選択し、セルの内容をコピーします。
ネットワーク リンクは常時表示されていますが、スプレッドシートをウェブに公開するまでは機能しないことにご注意ください。
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Google Earth に貼り付ける
Google Earth に切り替え、左側のパネルの [お気に入り] フォルダまたは [保留] フォルダを選択します。次に、Ctrl キーを押しながら V キーを押すか、右クリックして [貼り付け] を選択して、コピーした内容を貼り付けます。
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サンプルの目印が Google Earth に表示されます。各目印には、スプレッドシートに組み込まれている入門者用バルーン テンプレートが表示されます。
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サンプルの目印をクリックして、プロジェクトで使用するバルーン テンプレートを選びます。
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HTML ベースのバルーン テンプレートをカスタマイズしたり、独自のバルーン テンプレートを作成したりすることも可能です。
自分の情報を入力する
テンプレートを準備する
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選択したテンプレートのシートに移動します。
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(省略可)シートに新しい名前(例: 「Tem_OurSites」)を付けます。
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テンプレートの [Static Variables] セクションまでスクロールし、値を(必要に応じて)実際の情報に書き換えます。
4.(省略可)目印のアイコンやラベルの外見を変更するには、[KML Style Variables] の値を好みに応じて変更します。
![](https://www.google.com/earth/outreach/images/tutorials_sm3_style_variables.png)
目印の名前と場所を入力する
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[PlacemarkData] シートに移動し、白いセルのサンプルデータを削除します。
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自分のデータを入力して、目印を作成していきます。目印ごとに名前と場所が必要です。テンプレート シート名も必要ですが、これについては後述します。場所の座標(緯度 / 経度)は、10 進法形式(例: -122.34567)で指定する必要があります。
ヒント: 場所の緯度と経度の座標がわからない場合は、Google マップで取得できます。maps.google.com にアクセスし、地図上で目的の場所を右クリックして、メニューから [この場所について] を選択すると、ページ下部中央に緯度と経度がポップアップ表示されます。Spreadsheet Mapper では、座標の代わりに住所を指定することもできますが、この方法はおすすめできません。住所を含む KML ファイルでは、ユーザーがファイルを開くたびに、Google Earth が住所をひとつひとつ検索してジオコーディングする必要があるためです。
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(省略可)[Folder Name] に値を指定すると、目印をフォルダに分類することができます。同じフォルダの目印は、連続した行に入力してください。不連続になっていると、同じフォルダ名が複数作成されてしまいます。たとえば [Folder Name] 列のヘッダーのプルダウン メニューをクリックして [シートを並べ替え] を選択すると、シート固定機能の分割バーよりも下のデータをすべて、フォルダ名を基準に並べ替えることができます。
テンプレートを各目印に適用する
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各目印にはテンプレートを指定する必要があります。テンプレートによって、目印のアイコン、情報バルーンのレイアウト、その他のスタイルが決まります。目印にテンプレートを指定するには、列 H(Template Sheet Name)にテンプレートのシート名を入力します。シート名とは、スプレッドシート下部のシート / タブに表示されている名前のことです。使用するテンプレートのシートの名前を入力してください(Spreadsheet Mapper バージョン 2 ではテンプレートごとの固有名が別途定義されていましたが、バージョン 3 ではテンプレートのシート名をそのまま使用します)。
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表の各列にはバルーン内の各種コンテンツの情報を入力しますが、各列に対応する情報の種類は、テンプレートによって異なります(たとえば列 J は、Template1 では「Subtitle」ですが、Template3 では「Image URL」になります)。テンプレートのリストに表示される列ヘッダーに応じて、各目印のデータを適切に入力してください。
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データ入力を容易にするとともに、テンプレートごとの列の用途をわかりやすくするため、I9 セルにテンプレートのシート名を入力すると、そのテンプレートの情報が強調表示されるようになっています。データ列の直上にある行 10 には、入力したテンプレートに応じたヘッダーが表示されます。
(省略可)時間、LookAt ビュー、スニペットを設定する
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LookAt(スナップショット表示)、TimeStamp または TimeSpan(有効な時間のフォーマットを参照)、Snippet などのタグを使って、高度な目印情報を入力することができます。
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[PlacemarkData] シートの右上にあるタブをクリックすると、非表示になっていた列が展開され、目印に高度な値を指定できるようになります。
変更内容の公開と閲覧を行う
スプレッドシートの情報(目印データや [start here] シートの内容、バルーン テンプレートなど)を変更した場合、変更内容を Google Earth または Google マップの KML に反映するには、変更したデータを再度公開する必要があります。
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[PlacemarkData] シート上部にある [KML Processing Status] ボックスが「Your KML is ready」という表示になっていることを確認します。エラー(Error)がある旨が表示されている場合、[PlacemarkData] シート内をスクロールして問題のある行を修正します(KML から行が抜けているケースもあります)。警告(Warning)がある場合、通常はその行の KML 生成は可能ですが、情報に誤りが含まれる可能性があります。
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メニューバーで [ファイル] > [ウェブに公開] をクリックし、[今すぐ再公開] ボタンをクリックします。[閉じる] ボタンをクリックしてダイアログ ボックスを閉じます。
[ウェブに公開] ダイアログ ボックスには、[変更が加えられたときに自動的に再公開する] というチェックボックスがあります。このチェックボックスは、オンにしないことをおすすめします。これにより、KML 生成の途中でスプレッドシートが自動的に再公開されてしまうことを防げます。
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[場所] パネルで先ほど追加したネットワーク リンクを右クリックし、[更新] を選択して変更内容を読み込みます。テンプレート シートにスタイル上の変更を加えた場合、変更結果を表示するにはネットワーク リンクをもう一度更新する必要があることもあります。
行の追加や削除が必要な場合
行を追加する
Spreadsheet Mapper で 1,000 件を超える目印を作成する場合、手軽に行を追加することができます。
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メニューバーで [Spreadsheet Mapper] > [add more rows] をクリックします。[Spreadsheet Mapper] メニューが見当たらない場合は、ウェブページを再読み込みしてください。スプレッドシートの再読み込み完了から数秒でメニューが表示されるはずです。
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ダイアログボックスで、追加する行の数を入力します(一度に 500 行まで)。
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[OK] をクリックして、行の追加が完了した旨のメッセージが表示されるまで待ちます。スクリプトにより、[PlacemarkData] シートと [kml] シートに指定の行数が追加されます。
注: 行数を増やすと、データの処理や KML の生成を行うスクリプトの動作速度が低下します。また KML ファイルのサイズも、1,000 行を使い切っている時点でかなりの大きさですが、さらに大きくなります。
行を削除する
行を追加しすぎた場合や、未使用の行を削除してスプレッドシートや KML を最適化したい場合は、以下の手順で行を削除できます。
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メニューバーで [Spreadsheet Mapper] > [remove some rows] をクリックします。
[Spreadsheet Mapper] メニューが見当たらない場合は、ウェブページを再読み込みしてください。スプレッドシートの再読み込み完了から数秒でメニューが表示されるはずです。
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ダイアログボックスで、削除する行の数を入力します(一度に 500 行まで)。指定の行数が、[PlacemarkData] シートの下端から順に削除されます。
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[OK] をクリックして、行の削除が完了した旨のメッセージが表示されるまで待ちます。PlacemarkData シートから削除する行にデータが含まれている場合は警告メッセージが表示され、操作をキャンセルすることができます。
行や式が正常に動作しない場合
なんらかの原因で、スプレッドシートのデータ行や数式が壊れ、正しく動作しなくなることがあります。問題の原因となりやすいのは、次のような操作です。
- 行を手動で追加または削除する([Spreadsheet Mapper] メニューのツールを使わずにスプレッドシートで直接操作する)
- [PlacemarkData] シート内でデータの行、セル、または列をドラッグして移動させる
- [PlacemarkData] シートまたは [kml] シートで、重要な数式を削除したり、上から別の内容を貼り付けたりする
こういった操作を行った場合、または KML で一般的でないエラーが表示される場合は、[kml] シート内の目印生成行の数が [PlacemarkData] シートのデータ行の数と一致しなくなっているか、これらのシート内の数式が壊れている可能性があります。こういった場合のため、エラーを修復するスクリプトをご用意しています。
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メニューバーで [Spreadsheet Mapper] > [repair rows & formulas] をクリックします。[Spreadsheet Mapper] メニューが見当たらない場合は、ウェブページを再読み込みしてください。スプレッドシートの再読み込み完了から数秒でメニューが表示されるはずです。
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ダイアログ ボックスの説明を確認し、[OK] をクリックして続けます。
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スクリプトにより、[kml] シートの目印生成行が [PlacemarkData] シートのデータ行の数と一致するよう、追加または削除されます。そして、PlacemarkData シートの A 列と B 列にある式と、KML シートの A 列(行 11 以降)にある式が置き換えられます。これにより、行や数式に関する多くの問題が解決します。
目印を共有する
スプレッドシートによって生成された目印は、Google Earth で誰でも閲覧できます。次の手法により、ユーザーによる閲覧をさらに便利にすることが可能です。
地図を Google Earth のレイヤとして共有する
目印地図を Google Earth ユーザーと共有するには 2 とおりの方法があります。1 つはスプレッドシートへの直接リンクを使う方法で、常に最新のデータ / KML をスプレッドシートから取得できます。この方法は、データセットを頻繁に更新する場合や、ユーザーが常時インターネットに接続する場合に便利です。もう 1 つは、すべての目印データを 1 つの KML ファイルとして保存し、共有する方法です(このデータ一式をここでは「静的なスナップショット」と呼びます)。データセット変更の頻度がさほど高くない場合や、オフライン作業中に KML を閲覧するユーザーが想定される場合には、こちらの方法が便利です。KML の静的なバージョンを共有する手法を使用すると、次に静的なスナップショットを作成するまで、変更内容がユーザーに表示されないようにすることができます。
スプレッドシートから直接リンクされた、自動更新される KML へのアクセスを共有する方法:
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Google Earth の場合: [場所] パネルでネットワーク リンクを右クリックし、[名前を付けて場所を保存] を選択します。
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ファイルにわかりやすい名前を付け、KML または KMZ ファイルとしてパソコンに保存します。
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KML / KMZ ファイルを同僚や友人に送付するかウェブサイトで公開します。このファイルには KML ネットワーク リンクが含まれているため、ユーザーが Google Earth でファイルを開くと、公開済みのスプレッドシートから最新のデータが直接取得されます。
現在の KML の静的なスナップショット(データはすべて含まれるが、その後のスプレッドシートの更新内容は反映されない)を共有する方法:
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Google Earth の [場所] パネルで、地図の最上位レベルのフォルダを見つけます。ネットワーク リンクのすぐ下にある最初のアイテム(フォルダ)が該当し、通常は青い地球儀のアイコンが表示されています。
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最上位フォルダを右クリックして、[名前を付けて場所を保存] を選択します。
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ファイルにわかりやすい名前を付け、KML または KMZ ファイルとしてパソコンに保存します。
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保存した KML / KMZ ファイルを同僚や友人に送付するか、ウェブサイトで公開します。このファイルには地図データの静的なスナップショットが含まれています。このファイルのユーザーは、スプレッドシートから直接取得される最新のデータにはアクセスできませんが、スプレッドシートへの接続を必要としないため、オフライン時でもファイルが動作します。
ディスカッション、フィードバック、疑問の解決
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