国家検定試験 時計修理技能士 3級への道標
アクセスいただき、誠にありがとうございます。文字通りけもの道ですが、ご参考になれば何より幸いです。
■道標 INDEX■
・試験内容
・合格発表
・その後
・時計修理技能士 1級への道標(※開拓中)
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ある腕時計との出会い
当時勤めていた、とあるリサイクルショップでのこと。
「動いていないよ、これ」と、別のスタッフの手で廃棄処分にされようとしていたのが、少々くたびれた印象の、メンズの3針腕時計。この時計の文字盤が目に入った時。
かすかに、か細い声が聞こえた気がしたのです。
「……まだ動けるよ……」。
捨てようとしたスタッフの手を止めてこちらに渡してもらい、しげしげ眺めました。
有名ブランドでもなく、手頃な価格で購入できる、あたりさわりないデザイン。
黒の皮革ベルトもステンレスのケースも、そこそこのUSED感あり。
でも風防には致命的な傷もなく、ただ針は静止しています。
……電池交換してみたら?
……でも、やったことないし、もし動かなければ電池が無駄になる。
迷いましたが、そもそも裏蓋が開かないことには話は始まらないと気がつき、やってみようとしたところ。
……開け方が分からん!(笑)
で、散々ひねくり回し、ようやく裏蓋の縁にある小さな隙間を発見しました。
今思えば、知識も経験もなく、「側開け」なる工具の存在も知らず。
裏蓋のゆがみなど全く無視して、ドライバーをぐりぐり差し込むというご無体な扱い。
ゆがみや大きな傷が入らなかったのが、せめてもの幸いという……。
運良くスムーズに裏蓋は開き、素人目での見解ですが中は綺麗で、電池の液漏れもなさそうです。
これも今となっては恐ろしいのですが、入っていたバッテリーを、金属製ピンセットで無理やりほじくり出し。社長の奥さんにお願いして、電器店で同型の電池を買ってきてもらいました。
半信半疑で電池を素手でつまんで挿入し、両手親指で、力まかせに裏蓋を閉めると。
……おおおぉぉぉ!!!
秒針が動いた~~~~~~!!!
この瞬間の何とも言えない感動。
その後何日か放置しましたが、手荒な扱いを受けたにもかかわらず、特に大きな問題も発生せず作動しておりました。
尚、我ながら余りにも非道い扱いだったと思うので、店舗名は伏せさせていただきます……。
という訳で。
小さな囁きを耳に残した、あの腕時計との出会いから。
私は「いつか、きちんと時計を扱える専門知識を持てたらな……」とひっそり思うようになったのでした。
まだ「時計修理技能士」という国家資格を知らなかった頃のお話です。
≪弁護とお願い≫
・どうか皆様、誤解なさらないで下さい。
全てのリサイクルショップが、ここまで時計に非道いことをしている訳ではないのです!!!
運悪く、このショップに専門知識のあるスタッフが誰もいなかっただけなんです~~~(泣)
・特に文章内の赤文字箇所は、絶対に真似しないでください! 故障の元凶オンパレードです!!