緊急事態宣言解除に向け 23軒の店主らが一斉清掃

中村尚徳
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 【栃木】新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が30日に期限を迎える。解除に備えて、宇都宮市二荒町の宇都宮屋台横丁23軒の店主らは24日、敷地内の一斉清掃をした。これまでで最長の2カ月近い休業を強いられた店主らは「早くお客さんに戻ってきてほしい」と汗を流した。

 約550平方メートルの敷地には、天ぷらやおでん、韓国料理などを出す23軒が集まっている。これまでも営業時間の短縮や営業自粛に応じてきたが、今回は8月8日から休業してきた。

 一斉清掃は運営管理会社の村上龍也社長(57)が呼びかけた。「家でじっとしていると、悪いことばかり考えて精神的なストレスも大きい。政府の決定を待っていても、後手後手で準備が遅くなりますから」

 大谷石の通路にはコケや雑草が生えた。店主らは「こんなことは珍しい」と口にしながら取り除いた。

 昨年8月に出店した串カツ店は、感染の様子見で開業時期を3カ月遅らせた経緯がある。杉浦大貴店長(25)は「落ち着いたと思ったら、また感染拡大。ここまで長引くとは思わなかったが、心機一転、お客さんを迎えたいですね」とデッキブラシを握った。

 宇都宮屋台横丁は2004年4月の開業以来、売り上げを伸ばしてきた。村上さんによると、19年度は過去最高の20万7千人が訪れたが、昨年度は11万6千人に急減。今年7月の1店あたりの平均売上額は、最盛期の約半分まで落ち込んだという。

 開店8年目の焼き鳥店主の佐々木智宣さん(35)は「経営は大変厳しい。食材の仕入れ先も倒産した。これが何回続くのかと思うと、正直、心が折れそうになる。お客さんが感染を気にせず会話や酒を楽しめる状況にならないと喜べない」と本音をもらした。

 大衆酒場を切り盛りする田村亜委(あい)さん(36)は「収入が断たれるのはきつい。先が見えない不安もある。感染前の日常に早く戻ってもらいたいですね」。祈るような表情で話した。

 緊急事態宣言が解除されれば、宇都宮屋台横丁は感染防止に気を配りながら10月1日から営業を再開する。(中村尚徳)

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