週刊金曜日 編集後記

1269号

▼早朝の西日暮里駅前では見向きもされなかったというソーセージマフィンとコーヒーで200円の「朝マック」が好きだ。
 そして「夜マック」には、ごはんバーガーが新発売。てりやきとベーコンレタスとチキンフィレオの3種類で、試しにベーコンレタスを食してみたが、バンズの替わりのごはんがうまい。焼きおにぎりみたいだ。天ぷらそばの天ぬきのようにハンバーグなしでごはんだけでも食べたくなる。味噌汁をつけてごはんセットなんていかがか。名づけて「和マック」。それにしてもマックも悩ましいに違いない。パンかごはんか、いやパンだ。
 パンダといえば、ドラマ「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」にはまっている。ファンタジーのようなミステリーのような不思議なドラマだ。飼育員さん(横浜流星)とミスパンダ(清野菜名)が世の中のグレーな事件にシロクロつける。主役2人のアクションは本物で迫力満点、加えて「あなたの番です」のように謎も深まってきて次回が待ち遠しい。さあて、そろそろ数々の疑惑にシロクロつけようじゃないか、安倍首相、往生際が悪いぞ。(原口広矢)

▼先月からはじまった崔善愛編集委員によるインタビュー連載「歓喜へのフーガ」。表現者の源泉を探るこの企画、今週号ではスカラ座のチェリスト、ベアトリーチェさんが来日した際に話を聞いた。日本とは違うイタリアの音楽教育の環境やスカラ座に行くときは必ずしもフォーマルでなくてもよいなど、知らないことばかりだった。
 連載のロゴには、上野遒さんの版画作品を使わせていただいている。遒さんは、平和を願い広島・長崎の原爆被害を描き続けた木版画家の上野誠さん(1909~80年)の息子。彼が副館長を務める長野市の「ひとミュージアム上野誠版画館」では毎夏崔さんの演奏会を開いている。遒さんの個展「木版画とドローイング」が3月1日(日)まで(24日は休廊)、東京・ギャルリーヴィヴァン(銀座一丁目駅または東銀座駅、TEL・03・5148・5051)で開催中だ。
「音楽でお腹いっぱいにはならないけれど、胸はいっぱいになれる」。連載第1回目の指揮者の下野竜也さんのことばだ。15日付『朝日新聞』の「折々のことば」で取り上げられた。こちらも胸がいっぱいになった。(吉田亮子)

▼「武漢肺炎」(中国や台湾などでは、この呼称が通称として定着しているようです)の猛威はとどまるところを知らず、日本は中国に次ぐ感染国となっております。今、中国・香港・マカオ居住者や乗り継ぎ者を入国・入境制限、あるいは拒否している国や地域は多いですが、そのうち日本居住者・乗り継ぎ者も対象になるのではないでしょうか。「日本は大丈夫」とか「日本人は大丈夫」とか「日本国籍は大丈夫」という、根拠のない安全神話はもってのほかのような気がします。
 マスクが品不足になって1カ月ちょっと経つかと思いますが、いまだに店頭には供給がされません。日本同様にマスク不足の台湾では、政府がマスク増産を命じるとともにマスクを買い上げ、販売枚数や販売日の制限付きで販売しているそうです。全住民に行き渡るほどの枚数ではないですが、買い占めや価格高騰もなく、「市中にマスクゼロ」の日本とはどえらい違いです。かつてのSARS(重症急性呼吸器症候群)の教訓で初動が早かった台湾ですが、日本政府にはこういうところを見習ってほしいですね。(渡辺妙子)

▼「市有地は売らない!貸さない!」。沖縄の石垣島で2月11日、100人超の市民が抗議のデモを行なった(「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」主催)。
 南西諸島"要塞化"の一環として、石垣島では、陸上自衛隊の配備計画が進められている。今回のデモのきっかけとなったのは、石垣市職員からなる公有財産検討委員会が2月5日、配備予定地内の市有地の売却額と賃貸料を一方的に決定してしまったことだ。配備予定地全体(約46ヘクタール)のうち、市有地はその約半分に当たる22・4ヘクタールに上る。しかも、売却には議会承認が必要だが、貸し付け部分については議会承認はいらない。地元住民によると、委員会は専門家を招くこともせず、議事録すら作成していないので、賃貸約9ヘクタールについてはブラックボックスだ。「議事録を作成しないのは情報公開条例に反する」「市民の財産である私有地の取り扱いについての審議内容を、なぜ市民が知れないのか」など地元からは抗議の声が上がっている。
 これから市では3月議会が始まる。市政の横暴を放置せず、それを暴く議論を望む。(渡部睦美)