ここしばらくふり続く雪で、どこもかしこもまっしろの朝でした。
機関車のトシちゃん(C56104)はまだやまない雪を見ながらため息をついていました。
「あーあ、こんなに雪がふっていちゃあ奥へ行くのは大変だよ」
そこへ宍道駅から帰ってきたはっちゃん(C56108)が声をかけました。
「ただいま、トシちゃん。上りもものすごい雪だったよ。」
こんなひどい雪初めてだよ。このぶんじゃあ奥は運休になるんじゃない?
そこへ機関士のおじさんがやってきて言いました。
「おはよう」トシちゃん。今日の便は大雪で運休になったんだ。代わりにゴロー(C56105)とラッセル車を押していくことになったよ」
おじさんはたのんだよと言うと行ってしまいました。

-----中略-----



「トシちゃん、ゴローちゃん、ふうちゃん(C56127)が山をこえた先で動けなくなってしまったようだ。助けを求めている。当直は自分たちで何とかしろと言ったが、私たちで助けに行くことにした」
「それは大変だ!すぐに助けにむかいましょう!」
トシちゃんたちはびっくりしましたが、すぐにそう答えたました。2輛のたのもしい答えに、おじさんはにっこりとうなずきました。

-----中略-----



トシちゃんとゴローちゃんがくやしがっていると、さぶちゃん(C56136)といっちゃん(C56110)がホームにすべりこんできました。
「手伝いに来たよ!」
「木次駅で救援本部ができたんだ」
ふうちゃんを助けるために、機関区みんなで力を合わせて働くことになったのです。

-----中略-----



ズッシ-----ン!ズボ-----!!
大きな音を立てて雪のかべはくずれ、トシちゃんはその中を突き抜けて行きました。
「うわっぷ、ぺっぺっ、前が見えないよ!」
先頭のトシちゃんの顔一面に雪がはりついて、前が見えません。
「トシちゃん大丈夫!」
「一度雪を落とすかい?」
さぶちゃんといっちゃんが言いましたが、
「へっちゃらさ!」とトシちゃんは先を急ぎました。

-----中略-----



けれども、どうしても壊せない雪のふきだまりもありました。
一度バックして加速をしてつっこんできたトシちゃんを雪はガッチリと抱えこんで、その先を進めなくしてしまったのです。

-----後略-----

 ここに登場する、トシちゃん(C56104)、ゴロー(C56105)、さぶちゃん(C56136)、いっちゃん(C56110)が力を合わせてふうちゃん(C56127)を助け出す様が、トシちゃん(C56104)の機関士であった今井瑞穂氏(故人)の回想録を元に可愛らしい絵とともに描かれています。