日本の酒場をゆく

日本の酒場をゆく

旅酒や 無頼な心の よりどころ

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★さすらう町の酒場の灯り、居酒屋行脚の、珍道中★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

地元客で賑わう人吉の庶民派居酒屋ew_icon_a401_20231111174851ac0.gif
JR肥薩線人吉駅から徒歩約11分、鍛冶屋町の路地に居酒屋(やきとり 一心)がある。
まずは球磨焼酎だ。
米どころでもある人吉球磨地方では、室町時代から米焼酎造りが行われてきた。
当時は貴重だった米を主原料とした醸造が、相良氏に認められて庶民にも愛飲され、500年以上の歴史を育んでいる。
人吉球磨地域内に27の蔵元が点在し、伝統の製法と多彩な味を守り続けているのだ。
この店に初めて訪れたなら、まずは名物の「豚足」からだろう。
熊本県では豚足を揚げたり焼いたりして食す。
焼き台に立つ主人が日々鍛練を重ねてきた職人の業で焼き鳥を焼き上げている。
炭火を使って焼き上げられる豚足はガーリックパウダーがかかっていた。
そのままガブリと食らいつくと、豚足の食感や風味が生きており、ほんのり焦げを纏わせた絶妙な焼き加減。
ニンニクの風味に、ついつい酒が進んでしまう。
〆には甘味噌を塗った「焼おにぎり」も待ち受けている。
注意トマトスライス350円
砂ずりPマン炒め550円
アサリバター600円
とりニンニク炒め650円
ハイボール550円
米焼酎 ロック450円
「営業時間18:00~23:00/不定休」

 

 

 

 

 

 

人吉のうまいもんを味わうew_icon_a401_2023111117105841e.gif
熊本県人吉市は、町の中心を流れる球磨川沿いに源泉が点在する温泉の里。
球磨川くだりや渓流釣りなどのアクティビティをはじめ、駅の隣にある鉄道ミュージアムからは明治期に建造された石造りのSL機関庫を間近で見ることができる。
JR肥薩線人吉駅から徒歩約12分、紺屋町通り沿いにある居酒屋(京だる)に入った。
人吉の酒は球磨焼酎だ。
球磨焼酎と名乗れるのは人吉・球磨エリアの水を使い、この地で製造、瓶詰めされた米焼酎だけ。
人吉で飲みたいと考えていた豊永蔵、川辺、牧場の夢、奥球磨桜、水鏡無私も皆そろっている。
思案の挙句まず水鏡無私のオンザロックにした。
フルーティーで角がない、淡麗で軽快な味わいの球磨焼酎だ。
この球磨焼酎は相当うまい。
合わせる肴は天草大王のレバー刺だ。
タッチは清潔で弾けるような食感。
次は鮎塩焼き。
球磨川水系の川辺川で釣り上げた鮎はうまみたっぷりだ。
注意砂ずりポン酢440円
揚げ出し豆腐495円
めひかりの唐揚げ660円
串カツ「3本」825円
温泉焼酎 夢 大和一酒造「人吉市」1杯495円
水鏡無私 松の泉酒造「あさぎり町」1杯550円
「営業時間17:00~22:00/日休」

 

 

 

洗練された熊本のオーセンティック・バーew_icon_a52_20231111152424c8b.gif
熊本市電花畑町電停から歩くこと約四分、下通のアーケード商店街沿いの雑居ビル地下にオーセンティック・バー(BAR タビビトノトキ)がある。
「いらっしゃいませ」
黒蝶ネクタイにサスペンダーの白シャツのバーテンダーが迎えてくれた。
本格バーにメニューはなく、ビール、ワインは置かず、料理類もないのが基本だが、このバーにはある程度のメニューがあり、バー初心者におすすめ。
今夜もお馴染みのブラッディマリーだ。
バーテンダーは「かしこまりました」と小さくうなずき支度にかかった。
手に取った目の前に置かれたウォッカに何かが入っている。
「中に入っているのは何?」
「ベーコンです」
加工肉【亜硝酸ナトリウムが入る】のエキスはご法度だ。
普通のウォッカで注文すると、トマトジュースも普通のにしますかと聞かれ、普通のでお願いした。
届いたブラッディマリーはさっぱりしたシンプルな味わいでとてもうまい。
メモチャージあり。
注意プリマス800円
ゴードン800円
タンカレー800円
ビーフィーター800円
ボンベイサファイア800円
ヴィクトリアンバット900円
「営業時間18:00~翌1:00/無休」

 

 

 

 

 

人吉で活魚料理を存分に味わえるew_icon_a401_202311111606186d3.gif
人吉球磨は、鎌倉時代から明治維新までの約700年に渡り「相良氏」が治めた全国でも珍しい地域だ。
この「相良700年」で受け継がれた文化財や風習、地域の歴史を結び付けて紡がれた物語が「日本遺産」に認定された。
今宵の酒場は、JR肥薩線人吉駅から歩くこと約4分、青井阿蘇神社の目の前にある寿司居酒屋(鮨の喜多川)だ。
自動ドアを開けて店内に入れば、生簀にはどうどうと水が流れ、大きなヒラメやイシガキダイが泳いでいる。
「生ビール!」と叫んでおいてじっくり品書を見た。
ヒラメ造り、島あじ造り、石垣鯛造り、伊勢えび造り等々。
お、いいじゃないか。
「イシガキダイ刺身をください」
「活造りなので大きな一匹になりますが」
うーん、珍品イシガキダイはあるのに一匹は食べきれない。
どっしりした瓦屋根の広い店内は70名の宴会もできる大箱で、大人数で活魚を味わう居酒屋のようだ。
刺身はほとんど一匹売りである。
注意酢の物盛り合わせ800円
魚の煮付け900円
並ちらし寿司1200円
シーフードサラダ1200円
米焼酎「一合」500円
キリン一番搾り生580円
「営業時間11:00~14:00・17:00~21:00/不定休」

 

 

 

熊本のはしご酒のアクセントew_icon_a401_202311120750118f2.gif
熊本市電花畑町電停から徒歩約3分、西銀座通りと栄通り交差点角に立ち飲み酒場(カドBAR)がある。
モダンで開放的な雰囲気の立ち飲み酒場。
料理は「なんこつからあげ」「ごぼうのからあげ」「フライドポテト」「エビフライ」など、揚げ物がメイン。
揚げ物以外のちょっとした料理も揃う。
人気のドリンクは、揚げ物に合うスッキリ味の角瓶のハイボール。
ポテサラやその日のオススメをツマミに、球磨焼酎のお湯割りをやるのもいい。
ちなみに、立ち飲みのご利益は価格の面ばかりじゃあない。
店員や偶然隣り合った常連客から、ちょっとした世間話がきっかけで町の名所を教わったり、思いがけない人情の機微に触れることもある。
東京の神田や新橋の立ち飲み酒場で、壁に向かったまま無言行の僧侶みたいに飲食するサラリーマンを時々見かけるが、せっかくの立ち飲み空間、気軽に会話を弾ました方が酒だって旨くなる。
メモ飲み物メニューはない。

チャージあり。
注意コロッケ200円
ハムカツ200円
メンチカツ200円
アジフライ200円
あげタコやき400円
とんこつラーメン500円
「営業時間17:00~翌3:00/日休」

 

 

 

 

若者向けの馬肉料理の居酒屋ew_icon_a401_20231113083440d4c.gif
熊本市電花畑町電停から徒歩約4分、西銀座通り沿いに(IZAKAYA 感)「イザカヤ 感」がある。
以前紹介した熊本の居酒屋(馬桜 下通り店)の系列店。
馬肉の品質に定評があり熊本市で店舗展開する「馬桜グループ」の経営だ。
店に入り、まず目に留まるのは、バックバーにズラリ並んだ焼酎のボトルだ。
その数およそ300種。
「森伊蔵」「魔王」「村尾」など、その顔ぶれを見るだけで焼酎ファンでなくともプレミア級の品揃えであることはすぐ分かる。
ほかにもご当地の焼酎も数多く揃う。
九州では、酒といえば焼酎のことだ。
ここでは本場の焼酎をたっぷり味わい、知られざる逸品もみつけられる。
選んだ「蔵の朔」は東京の居酒屋ではなかなかお目にかかれない焼酎だ。
品書から選んだ「豚足カリカリ揚げ」はパリッとした皮とねっとりした身が対照的で、食べ始めると止められない。
〆は馬刺のにぎり寿司で決まりだ。
注意辛子レンコン820円
あさりバター880円
感特製 激辛麻婆豆腐980円
郷土料理セット1580円
松本酒造場 一蓮托生600円
高田酒造場 あさぎりの花600円
「営業時間17:00~23:00【金・土】17:00~翌0:00/不定休」

 

 

 

熊本で名高い馬刺の実力店ew_icon_a401_202311111439114bc.gif
熊本の夜。
ここは是非とも熊本名物馬刺を味わいたい。
長年、馬刺を喰うなら熊本に限る、と豪語してきた。
ならば、とびっきり旨い店を選びたい。
熊本市電田崎橋電停から徒歩約8分、二本木大通り沿いに(馬料理 天國 本店)がある。
以前紹介した熊本西銀座通り沿いの(二代目 天國)の本店だ。
外の大看板は消えているが入口に灯りが見える。
入口をあけると料理人と年配のおかみさんがこちらを見た。
「すみません、閉店です」
未練がましい顔に「馬刺だけなら」と再び。
なんとか座れた。
酒は米焼酎のロックにした。
料理人が肉のかたまりを見せる。
「この霜降りを見てください。馬のここんとこ【自分の脇腹を叩く】で、一頭から数キロしかとれないんだから」
そう言いきって料理人は刺身にした。
届いた「馬刺 特上霜降り」はミルキーな淡い旨みが舌に優しく絡み、サシのアブラが甘味を加える。
信州あたりと較べたら熊本の馬が怒るだろう。
注意桜納豆900円
馬タン刺2500円
馬レバー刺2500円
馬刺「特上霜降り」3500円
ハイボール500円
生ビール700円
「営業時間11:30~14:30・17:00~23:00/無休【ランチ火休】」

 

 

 

 

瀬戸内の魚に酔いしれるew_icon_a401_2024030709153165e.gif
JR山陽本線西条駅から徒歩約3分、ブルーバール沿いにある(満天)に入った。
夜は全面ガラスの店内灯りが道を明るくする。
鏡山城趾まで続く道は100メートル以上先までコンビニも自動販売機も何もなく暗闇が続く。
暗い中の灯りは人の心をひきつける。
逆に道側からは店内が丸見えだ。
それがまたどういう店でどんな客がいるかがわかり、入る安心感にもなる。
店内はカウンターを中心に板の間の小上がりと個室があり、居酒屋としては大きめ。
大人数での宴会も、カウンターでのひとり酒も楽しめる懐の深い造りとなっている。
さて、瀬戸内の魚をアテに乾杯とまいろう。
挨拶代わりの刺身3種盛りは、マダイ、タコ、カンパチが登場した。
透き通ったマダイはコリコリの食感が残り、さすが瀬戸内のマダイと言ってみたくなる。
やはりマダイは魚の王様だ。
しっかりと脂がのったカンパチは旨味が濃厚。
店の持ち味は万人向けだ。
注意中宏屋商店の揚げ出し豆腐500円
小エビ唐揚530円
安芸津産 赤じゃがコロッケ530円
さわら刺身880円
黒伊佐錦480円
大河の一滴550円
「営業時間17:00~翌0:00【金・土・祝】17:00~翌1:00/不定休」

 

 

 

 

地元常連客で賑わう佐伯の庶民居酒屋ew_icon_a401_20231027131441f36.gif
JR日豊本線佐伯駅から徒歩約25分、新町通りからうまいもん通りへ抜ける路地の雑居ビル1階に居酒屋(八ひろ)がある。
カウンターと小上がりがある小さな店は馴染みの常連ばかり。
店内はお世辞にも綺麗とはいえず、壁一面が煙で真っ黒に燻されている。
「いらっしゃい」
主人が一人カウンターに立つ。
黒板に本日のおすすめが書かれている。
カンパチ刺、モイカ刺、ヒラメ刺、ギンフグ焼、塩サバ、アサリバター……。
思案の挙句まずサバ刺とサラダを選び、焼酎のオンザロックを飲んだ。
奥の小上がりは若い団体客の宴会がはじまりにぎやかだ。
料理がしきりに運びこまれる。
焼酎を飲みふと時計を見ると10分すぎるがこちらには何もこない。
そのうちようやくお通しの枝豆が届いた。
主人が一人で厨房を賄い、注文を聞き、奥の小上がりまで料理を届けているのだから注文は大渋滞だ。
さらに15分してサラダが届き、刺身をキャンセルして店を出た。
注意揚げ出し豆腐500円
山イモスライス400円
タコ酢みそ600円
骨付きソーセージ600円
二階堂 むぎ焼酎400円
いいちこ むぎ焼酎400円
「営業時間18:00~23:00/日休」

 

 

 

 

 

 

今年創業60年の老舗居酒屋ew_icon_a401_20240417174015616.gif
JR神田駅西口から徒歩約2分、神田駅西口商店街沿いに居酒屋(季節料理 竹仙)がある。
屋号が書かれた赤提灯が目印。
居酒屋を赤提灯と言うぐらい、これは居酒屋の目印だ。
夕暮れや夜の闇にぽつりと浮かび上がる大きな赤提灯は人を引きつける。
酒やメニューに東北地方の郷土色を出す居酒屋だ。
初代は宮城県出身。
現在は二代目夫婦が切り盛りしている。
4人がけのテーブル席が整然と並んだ店内は90人ほど座れる、居酒屋としてはかなりの大箱だ。
料理は刺身から揚げ物、おでん、鍋物まで豊富にラインアップされる。
居酒屋はなるべく古い店がいい。
古い店とは老舗である。
何十年と客に愛されつづけてきた店だ。
しかし、古い店といっても、不潔な汚い店はごめんである。
たとえ建物は古くても、掃除がゆきとどいていて、整理整頓された店は、気持ちがいい。
この店は店の人の心が行き届いている。
メモ食べ物メニューの値段表示は外税。
注意ポテトフライ550円
にんにくエッグ680円
ワカメサラダ750円
仙台麩なす炒め780円
グレープフルーツサワー400円
アサヒスーパードライ 中瓶570円
「営業時間17:00~23:00/日休」