千葉県銚子市の老舗食品メーカー、ダイマル食品が民事再生法の適用を申請した。大手コンビニチェーンのPB商品の製造を請け負うなど、商品力に定評があったものの、設備投資に見合った販路の拡大ができず、事業の採算性の低さにも苦しめられた。

銚子駅から東に約2キロほどの幹線道路沿いにあったダイマル食品の本社
銚子駅から東に約2キロほどの幹線道路沿いにあったダイマル食品の本社

 千葉県銚子市ではんぺんなどの魚肉練り製品を製造販売するダイマル食品は1月19日に東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、23日に手続きの開始決定を受けた。負債総額は約15億円だった。

 ダイマル食品は1932年4月に同市愛宕町で創業し、73年には「大丸水産」として法人化した。創業時から水産加工業を営んでおり、92年には現社長の平野恭男氏の実兄である高志氏が社長に就任した。恭男氏は大学卒業後の74年に家業に入っていたという。

商品力には定評

はんぺんの製造販売に強み
はんぺんの製造販売に強み
本社は千葉県銚子市にあったが、近年は商品の生産・開発拠点を宮城県石巻市の工場に集中させていた
地元の推奨品「ちょうしブランド」の認定を受けていた(銚子市観光協会のホームページより)
地元の推奨品「ちょうしブランド」の認定を受けていた(銚子市観光協会のホームページより)

 同社の商品力には定評があった。同社ホームページによると、87年、93年、95年には全国蒲鉾品評会で水産庁長官賞を受賞。2017年にはサメを主原料とした「総州はんぺん」が同品評会で農林水産大臣賞を受賞するなど、技術を評価されていた。特に「はんぺん」が主力商品で、1994年から販売している「銚子はんぺん」は2016年に販売累計が1億枚を突破。銚子はんぺんは、銚子商工会議所がご当地の推奨品として認定する「ちょうしブランド」にも選ばれるなど一定の評価を得ていた。

 老舗の食品メーカーとして、地域振興にも力を入れていたようだ。06年12月2日の朝日新聞などによると、パッケージに「日本で一番早い初日の出 はんぺんの故郷銚子」と表記し、観光名所の犬吠埼から見える初日の出をパッケージにカラー印刷したはんぺんを販売しているとの報道が確認できた。観光振興への貢献にも積極的であった様子がうかがえる。当時は経営も比較的堅調だったとみられ、06年8月期には売上高20億6700万円を計上している。

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