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「自分への檄文は"すること"と"しないこと"のリストアップ」傳檄而定

檄を傳ふれば而に定む
―傳檄而定―

[原文](史記 淮陰侯列伝)
今大王舉而東、三秦可傳檄而定也

[書き下し文]
今大王挙げて而に東すれば、三秦は檄を傳ふれば而定む可也

[原文の語訳]
今大王が兵を挙げて東に向かえば、三秦(雍・塞・翟の三国)は檄文を撒くだけで平定できるでしょう。

三秦(さんしん)
→中国、関中の別称で、この地を項羽が雍・塞(さい)・翟(てき)の三国に分けて秦の降将を封じていた。

檄(げき)
→相手の悪い点を挙げ連ねる一方で、自分の優れている点を述べ、周囲の同意を求める文書。

[解釈]
由来は項羽を討つべく劉邦が東へ進撃するに際して、項羽に敗れた元の秦の武将が治めている三国に対し、項羽の悪い点を挙げ連ねるとともに劉邦の優れている点を文書で示し、撃つことが道理にかなっていると同意させれば、戦うことなくこちら側につくだろうということです。
なお「激励(文)」とは意味合いが違うので注意が必要です。

ビジネスで言えば、プレゼンにおいて判断に迷っている人に対して比較資料を用いて相手よりもこちらが優れているし理にかなっていると納得させ、こちら側の味方につけるといったところでしょうか 。
また、文面が見事であれば、味方を鼓舞するだけでなく相手を圧倒する力さえ発揮します。ところが相手のマイナス面を挙げていくわけですから、場合によっては相手の逆鱗に触れる危険性もあります。あまり過激すぎる表現には注意が必要です。

今だとSNSでのハッシュタグ運動の「#○○やめろ」が少し要素を含んでいるかもしれません。ただ見ている限り、不当性は提示していても正当性を示している訳ではないようなのでそのまま当てはめる訳にはいきません。

その点、コロナ禍で注目を浴びた自警団的「○○警察」は必要性・正当性を訴えて同調圧力を形成しています。こちらの方が適当な例に当たるかもしれません。抑圧のために過激な行動に出て事件に発展してしまう場合もありますし。

さて身近な個人間では難しいですね。相手の悪い面を羅列するのは良い気がしませんし、相性が悪い相手の中にも良い面を見つけようという考え方があります。
さらに他の人の賛同を得るとなると事は穏やかではありません。

学校でもいじめなどに対してと考えたのですが、学校に事の次第を訴えても黙殺され最悪の事態を招いているケースが多く見受けられますし。

しかしながら、相手があまりに悪質であれば腹に据えかねて行動にでる必要もあります。現代ではそれは訴訟になるのかもしれません。こちら側の正当性と相手の不当性を弁護士に示し司法に判断を委ねるという形です。費用対効果を考えるとなかなか踏み切ることはできないでしょうが。

対外的でなくあなた自身の事であれば、立てた目標に向かって、やること、やらないことをリストアップしていくことはどうでしょう。
やることは正当性(メリット)、やらないことは不当性(デメリット)と置き換えられます。目標とリストアップを書き出したら家族や周囲の人に知らしめることで、自分の意志を掲げるとともに協力(同意)を得ることに繋がるのではないでしょうか。

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