一枚の肖像写真が未来を創る!

肖像とは何であるか

肖像写真。英語ではPORTRAIT(ポートレート)と言います。
語源はPOR(前※中期フランス語)+TRAIT(描く)。
Traitには「〔人の性格の〕特徴、特質」の意味もあり、2つが合わさって「portrait=人の特徴を表した絵を描いてもらう」となりました。

「特定の人間の外観を表現した絵画や写真、彫刻である」

ウィキペディア「肖像」より引用)

「肖像」について
人間の顔貌,姿態を写した絵画または彫刻その他の視覚芸術作品。種類としては頭部像,胸像,半身像,全身像があり,正面像,側面像,単独像,群像などの名称もある。

コトバンク「肖像」より引用)

上記のように、語源通り「人の特徴が現れる」絵として描かれてきました。
現代では絵から写真に、そしてデジタルデータへと移り変わってきましたが、本質である「その人の特徴を表す」ことはなんら変わっていません。

「特徴を表す」とは、唯一無二の自分自身を表現する方法に他ならず、中世欧州では権威を示すと同時に、信用保証のメタファーとしての側面も持っていました。

最も信用が必要な貨幣に公爵などの「肖像」が用いられたことは有名です。
ウィキペディア―ドゥカート

日本では

ヨーロッパでは上記のように盛んでしたが、日本ではどうだったのでしょう。肖像画として有名な方はお札にも使われた聖徳太子。そして源頼朝、足利尊氏などが挙げられます。

何のために描かれたのか?

当時の肖像画は生前にその姿を書き写す寿像は稀で、大半は没後に法要で用いるため製作されました。依頼主と絵師との間で幾度もやりとりを交わした末に完成させるという工程がとられたことで、実際とは少し違って依頼主の希望を加えられた遺影目的が多かったようです。

そして日本の肖像には顔の向きについても特徴があります。

日本の肖像画には左側の顔を見せる習いがある。
これに関して、今日しばしば「写真を撮られる時は顔の左側で」といわれる。
「左側は優しい表情になり、右側は厳しい表情」になるとも、あるいは「90%以上の女性は左顔美人」などとも。

(出典:隠された真の織田信長の顔かたち 斎藤 忠著) 

こうしたことから、江戸期までの貨幣には欧州のように肖像画が用いられることはなく、むしろ遺影が目的となっていました。

しかし将来にわたり、先祖の特徴を伝えるために描かれる肖像画には、家系を大切に考える我が国の思想が反映しており、家系を重視するのは「信用保証」が紐づいているからと考えることもできます。

武家・商家・農家の中でも、武家に関しては家系がそのまま信用の裏付けとなり、商家からの借り入れに関して、家系の長さ・濃さによって借り入れ規模が左右されていたことも想像できます。

では、何のために現代社会において肖像写真を撮るのでしょう

先に触れてきていますが、大きくは「信用保証」に関する心理的な裏付けとして、「人となり」を端的に表現するものが「肖像」です。

唯一無二の存在として、さらに我が国では古来から続く「家系」による信用も加味され、最もわかりやすく人を認知する手段。

それらの条件を満たすために「肖像」を「撮影」します。

肖像の本質が「唯一無二の証明」であることに加え、事業に対する姿勢、生き様などを写し込んだ最大限の情報の塊であることを考えれば、肖像として表現される人をどこまで知るか? によって、肖像写真から得られる信用度は大きく左右されます。

また肖像は基本的に「公開される」ものです。公に認知されるほど信用度が上昇します。これは金貨を思い浮かべてもらえばわかりやすいでしょう。

現代社会においては会社やプロジェクトのウェブサイト、SNSやメタバース内での利用も大いに考えられ、資金借り入れや、融資、投資、株式公開といった資金調達時の相手にとって、信用に値する人かどうかを真っ先に知ることができる環境は、以前とは比べ物にならないほど発達しています。

なお肖像写真は芸能事務所などに使われる宣伝広告写真とは大きく違います。あなたの自身の格、ひいては会社の格を表すものになります

また我が国で事業を続ける以上、家系による信用、継続による信用から逃れることはできません。自身が生きている今だけではなく、居なくなった未来を想像したときに、肖像がもたらす信用力は、自らが思っている以上に大きなものになることは、先述した戦国武将たちのみならず、明治の偉人たちからも学べるでしょう。

つまり肖像写真とは

その方が今まで歩んできた人生を反映し、1枚の映像の中にギュっと詰め込んだ表現をします。

肖像写真を公開し、多くの方の目に止まったとき、その人を判断する大きな情報源となり、さらに未来を創り出していくものになります。

このことは信用情報に値するものであり、企業価値=法人資産をどれだけ大きくできるか、事業における資金調達とも関連する非常に重要なものだと気がついていただけたと思います。

最後に演出の話

肖像写真の場合、本人の希望を基に公開を前提とした演出をします。それはロケーション、服装、ヘアメイクへの気配りが基本になります。

ロケーションは肖像写真全体の雰囲気を作り出す大変重要な要素です。

スタジオ撮影と違うのは、ロケーションの場において、本物が醸し出すの空気を体全体が感じ取り、精神に影響を与え、内面から醸し出される表情や姿勢に影響するところです。

こうした影響は、写真になると顕著に現れます。
肖像画であれば、書き手がそうしたことを加味し、バイアスを掛けながら描けますが、写真の場合は写真家が場の空気を作り上げる役割を果たします。

女性の場合は服装を自らコーディネートできる方が多いのですが、男性の場合は背広を着用することが多く、コーディネートの細かな部分にまで気を使える方はなかなか少ないのが現状です。

そのため背広そのものにも着こなしのノウハウが必要で、場合によっては新調したり、既存の背広を修正したりすることです。

こうすることで、体全体のシルエットが美しく整い、美しい肖像写真に仕上がります。

こうしたアドバイスも含め、信用を作り上げることへの演出方法もプランの中に入ります。