吉永小百合さん もっと明るい明日へ ほほえんで

「Reライフフェスティバル2023春」で語った「現在地」

2023.04.01

 映画デビューから60年余り、いまも第一線を走り続ける俳優の吉永小百合さん。3月に東京で開催した、人生後半を自分らしく生きる大人のための文化祭「Reライフフェスティバル2023春」(朝日新聞社主催)では、「今を生きる」と題して講演。最新作の映画や平和の祈りをこめた朗読活動など、自らの「現在地」をじっくりと語っていただきました。

フェス当日の様子を収録した動画はこちら(4/14まで配信中)

吉永さんサイト再録用640_427)NAN_9937
「今を生きる」と題し、語る吉永小百合さん

離島を応援 美と健康のひけつは肌ケアと運動

 吉永さんは、やわらかな桜色の服で登場。凜としたたたずまい、静かな声で一言ずつていねいに参加者に語りかけた。

 3年前から長崎・五島列島の椿(つばき)を活用した産品で産業や雇用を生み出す「五島の椿プロジェクト」を応援している。もともと隠れキリシタンの歴史に興味があり、以前から旅や仕事で訪れては美しい景色や教会に魅了されていた。

 「人口減の続く離島の地域振興に」とサポーターを引き受けたといい、「地元のかたがツバキの葉を選別して、みんなで車座になって仕事をする。とてものどかだけど貴重な仕事をしていらっしゃると思いました」。

 すっと伸びた背筋と、つややかな肌。肌のケアはシンプルだ。「汚れを全部落としてツルツルにしようと思わないで、化粧水とワセリンつけて『大丈夫、明日になればきっと、もうちょっと元気になる』って勝手に思っています」

 また、「自分にできる運動を、体を温めて少しずつ毎日何かをやっています」。水泳のほか、映画出演がきっかけで鍛えようと約5年前にジム通いを始め、「腹筋やマシンにけっこうはまりました」。スクワット20回を3セット。「フレッシュな野菜と鶏肉などたんぱく質もとって、いい体に、しっかりと丈夫になりたいと思っています」。

出演123本目 映画は「宝物」

 今秋、123本目となる最新作の映画「こんにちは、母さん」(山田洋次監督)が公開される。母シリーズ3部作の3作目で、山田監督とは6度目のタッグになる。「監督は常にどうすれば一番いい表現ができるだろうと考えて、私たちを指導してくださるし、学校に入っている感じですね。一番すごいのは俳優さんに『顔で芝居しないでください』とおっしゃること。やっぱり心でやるんでしょうね」とふりかえる。「笠智衆さんのように後ろ姿だけですべてを表現できるような俳優に、いつかなりたいと思っているんです」

 映画は小さい頃から宝物だった。小学校の校庭で「二十四の瞳」を見て、いつか映画に出てみたいと思い、「将来、映画俳優になる」と作文に書いた記憶がある吉永さん。

 「人生は一度しかないけれど、いろんな人に出会い、演じることができるのは貴重でうれしいことです」。歳を重ねて「そろそろおしまいにしようかな」と思うこともないわけではないが、毎回すてきな役との出会いがあって続けてきた。「これからどうなるかはわからない。でも123(いち・に・さん)って、やめる数字じゃないですよね。これからまたがんばっていこうっていう数字かな」とほほえんだ。時には何も考えずにプールで魚のようにリラックスする。「そうしてまた新たな役に取り組んでいけたら」。

音楽活動60周年 平和の祈りをこめた朗読も 

 映画の主題歌もたくさん歌い、昨年はデビュー曲の「寒い朝」から60周年を迎えた。記念のCDボックスに長年続けている朗読も収録した。戦死した恋人にあてて女性が書いた、長い手紙のような文章の朗読は「何としても吹き込みたかった」という。

 朗読には、いつも平和の祈りをこめてきた。今年は戦後78年。「それぐらい昔のことですけれど、私たちは戦争のことは絶対忘れてはいけない」と、かみしめるように語った吉永さん。新作映画の撮影が行われた隅田川のほとりは、たくさんの人が空襲でなくなった場所だ。「過去をいろいろ知って学んで、みんなが未来に向かって明るく生きていかなければと、切に思っています」。

(児林もとみ、撮影・伊藤菜々子)

 映画「こんにちは、母さん」は9月1日公開。1968年より原爆詩の朗読を始め、2011年の東日本大震災以降、福島の詩人や子どもの詩も読んでいる。坂本龍一さんが音楽監督を務める「東北ユースオーケストラ」に今年も朗読で参加した。「吉永小百合60周年記念BOX ~星よりひそかに 雨よりやさしく~」(CD5枚組み)が発売中。TBSラジオ「今晩は 吉永小百合です」は毎週日曜午後10時半から。

<関連記事>

心はやわらか 背すじピンッ 「Reライフフェス」4年ぶりリアル開催

  • 吉永小百合
  • 吉永 小百合(よしなが・さゆり)

    俳優

    1959年に映画デビュー。「キューポラのある街」「愛と死をみつめて」「天国の駅」「北の零年」「母べえ」「母と暮らせば」「最高の人生の見つけ方」「いのちの停車場」など多くの映画に出演し、数々の主演女優賞を受賞。86年から始めた詩の朗読は30年以上、ライフワークとして続けている。

関連記事

あわせて読みたい

おすすめ記事

\ プレゼント・アンケート受付中! /

プレゼント・アンケート

\ 学ぼう、参加しよう!ただいま募集中 /

講座・イベント

これまでの活動をリポート

PAGE TOP