ファストフード、と聞けば私たちの頭にはハンバーガーやホットドッグなどが浮かびますよね。

実は江戸時代にもファストフードはありました。
ありました、というより 江戸の町はファストフードだらけでした。

江戸という場所は女性より男性の方が人数が多かったので、当然男一人住まいが多く、いつも外で食べたり総菜を買ってきて食べたりするので、長屋などはへっつい(台所)のついていない部屋も多かったのです。今回はそんな江戸の町で大いに栄えたお江戸のファストフードを紹介します。

■てんぷら

ファストフード、といっても江戸のファストフードは現代の私たちから見ると高級品ばかりです。

まずはてんぷら。

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鍬形蕙斎「近世職人尽絵詞」(部分)

当時のてんぷらは串に海老などの魚介の切り身を刺して、衣をつけて油で揚げる串料理でした。
野菜を揚げたものはてんぷらとは言わず、魚介と区別して揚げ物、ゴマ揚げと呼んだそうです。

それが道端の屋台で一本4文、今だと100円くらいで売っていたのです。子供もお小遣いで気軽に買って、それを立ったままかじる、そういう時代でした。

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ちなみにてんぷらという名前の名付け親は有名な戯作者、山東京伝によるものだそう。京伝著の「蜘蛛の糸巻」によると、京伝の知り合いのとある天竺浪人(住所不定無職の者という意味)が江戸にぷらっとやってきて始めた食べ物だから、てんぷらという名前にしたのだとか。

てんぷらに、巨大な寿司!?江戸時代のファストフードが高級すぎる件 その1


てんぷら屋台 Wikipediaより

■寿司

お次も今では高級品。
寿司です。これも当時は屋台で気軽に買えるものでした。

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今のかたちの握り寿司ができるまでは、寿司といえば押し寿司。時間と手間がかかるものでしたが、短気でせっかちな江戸っ子のためにもっと手軽に寿司を食べられないかということで、両国橋付近の寿司屋、華屋与兵衛が考えついたのが今の握り寿司です。

てんぷらに、巨大な寿司!?江戸時代のファストフードが高級すぎる件 その1


当時はすし酢が濃い茶色をしていて、ツメと呼んでいました。一貫一貫が大きく、ネタも今よりかなり大ぶりで食べ応え抜群。


これが夜ちょっと小腹がすいた時に屋台で手軽に食べられたのですから、羨ましい限りです。

次回につづく

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