盆を過ぎると、猛暑のなかでもわずかながら秋の気配を感じることができる。そろそろ夏休みも終盤にさしかかると、ハゼの季節が到来だ。

今回は簡単にハゼの釣り方と、釣った後のお楽しみである料理を紹介したい。

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ハゼの習性

【東海エリア2019】陸っぱりハゼ釣り初心者入門 大型シーズン到来
条件さえ間違わなければ釣果は手堅い
(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ファミリーフィッシングの代表的なターゲットであるハゼ。「ダボハゼ」という言葉があるようにエサと見ればすぐに飛びついてくるため、非常にイージーに魚を手にできる反面、条件次第では全く釣果に恵まれないこともある。

東海エリアのハゼは、ゴールデンウイークがすぎるころに、5cmほどの新子が河口域や漁港などに姿を見せ始め、7月に入るとシーズンインする。ただ夏はまだ10cm以下が多いため、釣趣としてはイマイチ。10cmを超える天ぷらサイズが数狙えるのは、お盆をすぎてからになる。

主な釣り場としては、名古屋から近い名古屋港近辺からメジャースポットである木曽川の立田地区、知多半島は半田市にある亀崎港、四日市港近辺など、有名スポットから穴場スポットまで、さまざまなポイントが存在する。

言い換えればどこにでもいる魚だが、前述した通り、条件次第では全く釣れないこともある。その条件とは、やはり潮だろう。

全体的に浅場が多いハゼの釣り場は、潮が引くとハゼが沖の深みに移動してしまうことがある。すると手前をいくら探ってもハゼはお留守、チョイ投げのタックルがなければ手も足も出ないのだ。

さらに台風などが通過し、大雨が降った後もいい条件とはいえない。特に河口域では川は増水すると、釣りにならないことすらある。

水潮や濁り自体は決してハゼにとって悪条件ではないが、度が過ぎるとハゼも沖に避難してしまい、手の届く範囲から姿を消してしまうのだ。

タックル

最も手軽な釣り方がチョイ投げだ。足下から沖まで万能に狙える。サオはバスロッドやコンパクトロッドなど、取り回しのいい2m前後のスピニングロッドに小型スピニングリール、ミチイトはPEラインの1号前後に穂先絡みを防ぐために、ショックリーダーとしてナイロンライン4号ぐらいを1mほど電車結びで結んでおく。

【東海エリア2019】陸っぱりハゼ釣り初心者入門 大型シーズン到来
仕掛けは短めのものを(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

仕掛けは市販のもので十分だ。選ぶ基準としては、仕掛けの長さとハリの大きさ。サオは短めなので、60cm程度にまとめたコンパクトな仕掛けが使いやすい。

ハリは流線やハゼバリなど6~7号ぐらい。

エサ

最もポピュラーなエサがイシゴカイだ。安価で手に入りやすいうえ、ハゼの食いも抜群。アオイソメでも釣れるが、太さも長さもイシゴカイより大きいので、食い込みが悪い。

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エサはハリいっぱいに刺し、垂らしは短めに(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

便利グッズ

その他にあると便利なものとして、まず水くみバケツ。魚やエサを触った後に手を洗うほか、釣ったハゼをいったんキープする役目も果たす。そしてメゴチばさみは、釣ったハゼを外すときに便利。手を汚すことなくハリを外せる。

またエサをハリに付けるときに便利なのが、石粉だ。目の細かい粒子で、エサにまぶしてハリに刺すと、全く滑らないので非常にエサ付けがしやすくなる。エサ店で安価で売っているので、見かけたら購入しておこう。

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エサの滑り止めに使う便利な石粉(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

釣り方

ハゼは釣り方も非常にシンプルだ。まず軽くキャストして仕掛けを底まで沈め、底に着いたらリールを巻いてズルズル仕掛けをサビく。このキャスト時、オモリが着水した時点で必ずイトの放出を止め、テンションをかけたまま沈めること。ルアーでいうカーブフォール、テンションフォールというやつだ。

着水してそのままフリーに沈めると、テンビンが先に着底しその上に仕掛けが落ちてくることになる。そうなると手前マツリになってしまう確率が高いので、テンションをかけたまま落とし、着底したらすぐに1mほどオモリを引く。これをするだけで仕掛けを上げたら絡んでいた…ということが激減するはずだ。

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サビいてハゼを誘おう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

アタリはPEラインを使っていれば、明確に手元に伝わる。ブルブルッというキスとは違ったソフトなアタリは、初秋の風物詩ともいえるだろう。

アタリがあったら早アワセはせず、ひと呼吸おいてからサオでゆっくり聞いてみよう。

ハリに乗っていれば、そのまま一定のスピードで巻き上げてくる。

また根掛かりが多いポイントであれば、むやみに底を引きずるのではなく、仕掛けを動かす際は軽く跳ね上げて動かすようにする。

釣りの後の楽しみ

さて、比較的イージーに釣果にありつけるハゼだが、その食味も最高ランクに位置する。ここではハゼの料理を紹介したい。

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小出刃がさばきやすい(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ハゼの場合は魚自体が小さいため、万能包丁でもいいが小出刃の方が使いやすい。釣ってきたハゼをまずボウルに移し、粗塩をまぶしてもみ洗いし、ヌメリを取る。その後、ウロコと頭を落とし、ハラワタを出して下ごしらえは完了だ。

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ウロコを取り、頭を落とし、ハラワタを出す(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

定番の天ぷら

ハゼ料理の定番中の定番といっていいだろう。できれば腹側から包丁を入れ、背中側まで入れて切り離さず、中骨をすき取って「開き」の状態にするのがベスト。ただ数が多くて面倒であれば、3枚下ろしでもいいし、骨が気にならないならそのままでもいい。

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大きめのものは開きに(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

天ぷら粉を水でといてハゼをくぐらせ、180度の油で色がつくまで揚げる。絶対のお勧めは揚げたてを食べること。ほくほくの身がたまらない。

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180度前後の油でじっくり揚げる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

また天ぷら粉ではなく、小麦粉や片栗粉などをまぶして揚げると、唐揚げになる。骨が気になる人は二度揚げするといいだろう。

これは好みによるが、天ぷらには天つゆか塩、唐揚げは塩かマヨネーズをかける。

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おかずにも、酒のつまみにも最適(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ちょっとひと手間で中華風あんかけ

唐揚げしたハゼに中華風のあんをかけると、また違った風味が楽しめる。フライパンで玉ねぎ、にんじん、ピーマンなど好みの野菜を炒め、火が通ったら野菜が浸るぐらいの水を入れる。

そこへ中華スープの素を入れ、塩コショウ、しょう油で味つけしたら香り付けにごま油を少量。さらに水溶き片栗粉を入れ、とろみが出たら揚げたハゼにかける。衣がしんなりしたハゼは、揚げたてとはまた違った食感を楽しめる。

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あんかけは好みの野菜で(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

焼き干し

これは関西に古くから伝わる風習で、秋に釣ったハゼを焼き干しにし、それを正月のお雑煮のダシに使うといったもの。下ごしらえしたハゼを素焼きにし、干物カゴに入れて数日間干す。焼き加減は少し焦げ目がつくぐらいが目安だ。表面がカリカリになるまで干せば完成。

これで取ったダシは風味豊かで、どんな料理にも使える。長期保存する場合は冷凍庫に入れておこう。

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風味豊かなダシが取れる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

お盆を過ぎても暑さには注意

お盆をすぎても、日中はまだまだ酷暑が続く。飲料と氷は十分に用意しておこう。ハゼ釣りだからと小さなクーラーではなく、できれば20L以上のクーラーを用意しておくと便利だ。魚の保管だけでなく、飲料も冷やしておけるし。濡れタオルなど氷に当てておくと、熱中症になったときに役立つ。

また帽子はキャップタイプより、麦わら帽子などツバの大きめのものがお勧め。もちろんライフジャケットの着用は必須だ。

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釣って食べて晩夏の味を楽しもう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2019年8月30日号に掲載された記事を再編集したものになります。