ついに天ぷらチェーン革命が始まるか!?
和食におけるチェーン系飲食店の代表的なジャンルといえば牛丼・そば・うどん。しかし「これはもっとあってよくない?」と思ってる日本を代表するメニューがないだろうか。それが「天ぷら」および「天丼」。
現在カジュアルに食べられるチェーン店としては、「天丼てんや」の一強状態ですよね。しかし、最近ではそば・うどんチェーンでも天ぷらの揚げたてを売りにしたお店も珍しくなくなり、そろそろ本格的な天ぷらチェーン店が出てきても……と思っていたら、去年一気にその波がやってきました! それも関西から。
「丸亀製麺」で知られるトリドールが関西で展開していた天ぷらチェーン店「天ぷらのまきの」、同じく関西中心の「まいどおおきに食堂」のフジオフードシステムの「天麩羅えびのや」がそろって2016年に東京1号店を出店。
2016年は松屋フードも「、松(てんまつ)」をオープンさせており、関東・関西が激突する天ぷらチェーン東西戦争が勃発!
揚げ物好きとしてはむしろ待ってました感すらあります。
そんな中で2016年12月にオープンした「天ぷら定食 まきの」武蔵小山店にうかがってみました。先に書いたとおり、丸亀製麺と同系列の「まきの」。
丸亀製麺というと、あのうず高いかき揚げですよね! それ以外の天ぷらも美味で「天丼屋さんとしてイケる!」というのは前々から評判になっていました。それが完全揚げたてで提供してくれるとなると、そりゃ心弾みますよ!
12月オープンしたばかりで真新しい「天ぷら定食 まきの」武蔵小山店。
そんな「まきの」ですが、学食のようなセルフスタイルの丸亀製麺とは違い、見るからに天ぷら屋さんという整ったしつらい。とはいえ、ずらり並んだカウンターは独り身に優しい……。日常のテンションで天ぷらを食べたい人も、今日はごちそうだぜって気分で食べたい人にも、惑うことなく天ぷらと向き合って食べられそうです。
本格的な天ぷら屋さんのカウンターのよう。
季節の天ぷらに、あさり汁もおすすめ。
冬の地酒に梅酒ゆず酒。これは仕事終わりとか定食だけでは終われませんね。
黒板メニュー&地酒がそそりますねー。どうせファストなフードな感じなんでしょ? という想像を打ち砕く、飲み屋さん使いも十分できるラインナップ!
これは長っ尻になりそうだ……。
一品ずつ提供される揚げたて天ぷらに、食欲キャントストップ!
そしてもうひとつ「まきの」のチェーンらしくないところは、目の前で天ぷらを揚げるのが見られること(近さは席によります)。魚に海老、野菜と丁寧に揚げられていきます。また目の前で黒板メニューみたいな定食メニューにないものを揚げられたりしたら、つい頼みたくなってしまう……そんな魔力があります。
ここからすっと手元の皿に。提供するスピードも考えているとか。
目の前でじゅわ~っと至福のメロディーが奏でられる。
スッと投入される衣をまとった海鮮や野菜、その油の跳ねる音を間近に見聞きしているだけで視覚聴覚すべてがお腹に響き渡ってくるよう……。調理風景ってのは最高に食事気分を高めてくれます。これは他のチェーン店にはない優美な時間。
今回まず頼んだのは、お店一押しの「まきの定食」(天ぷら8品、ご飯、味噌汁/1,069円)。今回は撮影用に盛り合わせてもらいましたが、実際は揚げたてが一品一品提供されます。
大事なことなのでもう一回言いますが、実際のお店では「揚げたて」が「一品一品提供」されます! だって、まだその油の跳ねが残っているかのような熱さの天ぷらがいいんですよ!
「まきの定食」の天ぷらは海老、いか、玉子天、魚2品、野菜2品、野菜かき揚げ。
天つゆと大根おろし、イカの塩辛もついています。この大根おろしがキクんですよ……。
歯を軽く跳ね返すようなプリプリ感を味わえる海老やイカに、白身魚の衣と身の味の重なり、この日の野菜天である茄子、南瓜の味が引き出された感じとか、これがひとつ食べるたびにはい次! と来るからたまらない。こういうカジュアルに入れるお店で、この揚げたて感を味わえるというのが本当にびっくり。いい意味で、このテンポの良さはチェーン店ならではのファストな感じ。
これまでチェーン系の天ぷら屋さんというと天丼中心で、やはりチェーン系らしくささっと食べてお店を出るというのが基本だったと思うんですが、「まきの」も品が出るスピードは早い。それでいてお酒のラインナップを見てもわかるとおり、腰を落ち着けて食べられる。そういうファスト的にも、じっくり飲み食いも、と両方が出来るお店ですね。
天つゆをたっぷりつけて食べるもよし。
そんな間にも次の天ぷらが揚げられている……。
もう一度言いますが、先の写真は撮影用に盛り合わせてもらったもので、実際は一品ずつ揚げられる→出て来る→うまい→次のが揚げられる→出て来る→うまい→がループしますからね!
まさに止まらない天ぷらトレイン……。もう終点で降りたくないよ! と定食の分が終わっても黒板を見て追加オーダーしちゃいます。
その濃縮された味を味わう天ぷらの中で、かぶりつく感覚がたまらないのが野菜かき揚げ。箸でほぐしながら食べるのもいいけど、これはざぶっと天つゆにがぶっといきたい。
そば・うどん店にはないタイプのかき揚げですね。
口の中で染みる天つゆと野菜の妙味。これは作り置き天ぷらでは味わえない!
TKG(卵かけご飯)を越えた TTKG(天ぷら卵かけご飯)がここに!
そしてお店の方から聞いたおすすめの裏技、それは玉子天を使ったTKG、つまり卵かけご飯! 天つゆ用に添えられたたっぷりの大根おろしと玉子天をご飯に乗せて、ガツッとかきこむ! 玉子天は温泉卵の天ぷらゆえに、割ったら中から黄身がとろ~り。
たっぷりの大根おろしをつゆに落とし……
玉子天を漬ける! そしておろしごと……
ご飯に落とす! つゆや大根多め、テーブルの黒薬味追加などバランスは好みで。
大根おろしと衣、つゆと衣、大根おろしとつゆ、大根おろしと黄身、ご飯と黄身……さまざまな掛け合いが口の中でバースト! う~ん、最強の卵かけご飯がここにありました。
そんな情報を教えてくださった、トリドール広報担当の方にメールインタビューをお願いしました。
──「天ぷら定食 まきの」のアピールポイントを教えてください
「目の前で揚げたての天ぷらを食べられる臨場感、一度に一皿で盛り込んでの提供では無く『都度揚げ』で一品一品熱々の揚げたて天ぷらを楽しめる『出来たて感』を大切にしています。また手の届くぜいたくを感じていただけるように、お値打ち価格の定食からごちそう感のある季節の天ぷら定食まで取りそろえています。『天ぷら専門店感』を大切にしつつ、肩肘張らずに入れるお店の演出にも努めています」
──最初にお店にうかがった時、揚げたての天ぷらが出て来るスピードに驚きました。早さへのこだわりはあるのでしょうか。
「お客様の入り方やオーダーの内容によって提供までの時間は多少異なりますが、外で並んでお待ちいただいた分だけ店内では出来る限りお待たせしないように心掛けています。ただ武蔵小山店では純粋に提供までのスピードよりも『お客様の食べるスピードに合った揚げたて提供』に努めており、食べるスピードが早い方には早めに、ゆっくりな方にはゆっくり目での提供を心掛けています」
個人的にはそば・うどん店の作り置き天ぷらが、丼に乗ったことで生まれるそこだけの味わいも好きなんですが、こうテンポよく揚げたてが提供されるとねえ、しかも990円で!(昼定食は790円)。真の天ぷらの魔力に気づかされる思いです。
今の季節は帆立に蟹、2月からは春メニューも登場
またこの季節ならではの数量限定メニュー、「殻付き帆立」と「蟹甲羅揚げ」も注文してみました。スプーンを刺した時にあふれる肉汁のジューシーさ、そして口に入れた時の海のエキスを封じ込めたような味わい。海の恵みを天ぷらの衣でキュッと包んで口の中に放り込んで弾けたかのような味、たまりませんなー。
宝石のような粒がごろり、の「殻付き帆立」(410円)。
冬の味といえば、の「蟹甲羅揚げ」(518円)。
他店舗ではこれまでその季節の定食として、夏に「瀬戸内穴子と夏の味覚定食」、秋「戻り鱧と秋の味覚定食」、冬「ズワイ蟹と冬の味覚定食」「帆立と冬の味覚定食」などがメニューに並んでいたそう。そして武蔵小山店でも2月1日から「春の芽吹き定食」「春爛漫定食」を発売するとのこと。こうした季節の天ぷらと日本酒との組み合わせも楽しみですねえ。
ほぐした身の一本一本から味が湧き上がるよう。
現時点では関西に7店舗、東京には武蔵小山店のみのまきの。しかし広報担当の方曰く「東京進出によるブランディングを計画しており、良い立地・物件があればどんどん出店したいと考えております」との頼もしいお言葉。この「まきの」の「ファストフードのひとつ上」くらいの使いやすさは、身近にあったら通っちゃいそうです。
添えられたイカの塩辛、これだけでご飯が進みます。
最近吉野家の「吉飲み」や富士そばの「ふじ酒場」など、チェーン店でお酒を楽しむのが流行りつつありますが、そこにアジャストした感じのお店ですね。この「まきの」が今後全国に増えていったら、確実に会社帰りについつい寄っちゃって帰宅が遅くなる人が続出しそうです!
一度揚げだすと注文が止まらない…….。
お店情報
天ぷら定食まきの武蔵小山店
住所:東京都品川区荏原3-8-5
電話番号:03-5751-7017
営業時間:11:00~21:30(LO 21:00)
定休日:火曜日
※この記事は2017年1月の情報です。
※金額はすべて税込みです。